2022年10月7日
「ハイブリッド蓄電池」のメリット・デメリットって?単機能蓄電池との違いや主要メーカー5社を紹介!

太陽光発電システムと合わせて導入されることも多い家庭用蓄電池は、「単機能型」「ハイブリッド型」の2つの種類があります。
特に、ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電システムと相性が良く、太陽光パネルで作った電力を効率的に使える点が大きな特徴です。
本記事では、ハイブリッド型蓄電池のメリットやデメリット、単機能型蓄電池との違いについてまとめました。
ハイブリッド型蓄電池を発売している主なメーカーも5社紹介しておりますので、それぞれの特徴などを比較し、蓄電池を導入する際の検討材料としてお役立てください。
ハイブリッド型蓄電池とは?単機能型との違い
ハイブリッド型蓄電池とは、太陽光パネルで作った電気や蓄電池に蓄えた電気を、家庭で使えるように変換するパワーコンディショナ機器を、1台で兼用できる蓄電池です。
従来の単機能型蓄電池では、太陽光発電システムと合わせて使う場合、蓄電池と太陽光発電システムそれぞれに、専用のパワーコンディショナを設置する必要がありました。
ハイブリッド型蓄電池は、設置するパワーコンディショナが1台で済むため、単機能型蓄電池より省スペースかつ、電力変換ロスが少ない点が優れています。
ハイブリッド型蓄電池のメリット
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電システムと合わせて使う場合に、もっとも効果を発揮します。
単機能型蓄電池と比べて優れている点やメリットは、次の2点です。
- 電力変換ロスが少ない
- 停電時も電気を使いながら充電できる
電力変換ロスが少ない
太陽光パネルで作った電気や、蓄電池に蓄えた電気の種類は「直流」、家庭で使える電気の種類は「交流」です。
蓄電池に蓄えた直流電気は、そのままでは家庭で使えないため、パワーコンディショナを使って交流電気に変換する必要があります。
電気は「直流から交流」もしくは「交流から直流」に変換する時に、数パーセントのロスが発生します。
そのため、2台のパワーコンディショナを設置する単機能型蓄電池では、無駄な電力ロスが出ていました。
しかし、ハイブリッド型蓄電池の場合、パワーコンディショナの設置は1台で済むため、電力の変換ロスが少なく済み、太陽光パネルで発電した電気を無駄なく使うことができます。
停電時も蓄電池しながら電気を使える
ハイブリッド蓄電池は、太陽光パネルで作った電気を家庭で使いながら、同時に蓄電池へ蓄電することも可能です。
単機能型蓄電池と比べると出力が高いため、長時間の停電でも、家庭の電気を使うことができます。
また、ハイブリッド型蓄電池は、停電を検知すると自動的に運転が切り替わり、蓄電池から電力が供給されるシステムを搭載しています。
単機能型蓄電池は、蓄電池から電力供給を行う場合、手動で運転を切り替える必要がありますが、ハイブリッド型蓄電池ではその手間が必要ありません。
ハイブリッド型蓄電池のデメリット
ハイブリッド型蓄電池は、単機能型蓄電池と比べて優れたメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
ハイブリッド型蓄電池のデメリットを2つ解説します。
- 本体価格が高い
- 太陽光パネルとの相性に注意
本体価格が高い
ハイブリッド型蓄電池は、単機能型蓄電池と比べて価格が高いため、なるべく初期費用を抑えたい方にとってはデメリットとなるでしょう。
ハイブリッド型蓄電池と単機能型蓄電池はでは、同じ容量であっても、20〜30万円ほど価格の差があります。
しかし、パワーコンディショナの設置工事が1台で済む点や、電力の変換ロスが少なく節電効果が高い点を加味すると、長期的に見ればお得になる可能性は高いです。
太陽光パネルとの相性に注意
すでに太陽光パネルを設置しているご家庭の場合、太陽光パネルとの相性によって、希望のハイブリッド型蓄電池の取り付けをおすすめできないケースがあります。
現在利用中の太陽光パネルと異なるメーカーのハイブリッド型蓄電池の設置すると、太陽光パネルに残っている保証が切れる場合があるため注意が必要です。
同じメーカーのハイブリッド型蓄電池を選べば、問題なく設置できる可能性が高いだけでなく、太陽光パネルの保証も残る場合があります。
ハイブリッド型蓄電池を導入する際は、事前に販売店の担当者に確認しておくと安心でしょう。
ハイブリッド型蓄電池はこんな人におすすめ
ハイブリッド型蓄電池は、主に次のような方におすすめです。
- 太陽光発電システムと同時に導入したい
- 太陽光発電システム導入から10年以上経っている
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電システムと合わせて使うことで、より節電効果を期待できます。
太陽光発電システムと同時に蓄電池を導入したい方には、より効率的に電気を使え、省スペースで設置可能なハイブリッド型蓄電池がおすすめでしょう。
また、太陽光発電システムは、およそ10年ごとにパワーコンディショナを交換する必要があります。
交換時期に合わせてハイブリッド型蓄電池を導入すれば、既設の蓄電池用パワーコンディショナの交換費用を節約できるでしょう。
ハイブリッド型蓄電池の主なメーカー
この章では、ハイブリッド型蓄電池を販売している主なメーカーの特徴や製品について紹介します。
メーカーごとに容量や機能、保証期間などは異なりますので、ハイブリッド型蓄電池を導入している人は、ぜひ参考にしてみてください。
HUAWEI(ファーウェイ)
スマートフォンやタブレットメーカーとして有名なHUAWEIは、太陽光発電システムのパワーコンディショナにおけるシェア率が、世界でもトップクラスです。
HUAWEIのハイブリッド蓄電池は、変換効率97%と高水準を実現しており、大容量といった特徴もあります。
5kWh刻みで3つの容量がラインナップされており、2台まで併設可能なため、ご家庭に応じた容量を選ぶことができるでしょう。
全負荷型・200V家電に対応しているため、停電時でも家庭の全部屋で電気の使用が可能です。
- パワーコンディショナ
型番 | SUN2000-4.95KTL-JPL1 |
変換効率 | 97% |
出力(定格/自立運転) | 4.95kWh/4.95kVA |
サイズ | 365×649×159㎜ |
- 蓄電池
型番 | LUNA2000-10-NHS0 |
容量 | 10kWh |
サイズ | 670×150×960㎜ |
重さ | 113.8kg |
サイクル数 | 12,000回 |
保証 | 有償:15年間
無償:10年間 (蓄電容量60%以下で無償交換) |
オムロン
ハイブリッド蓄電池の中でも、大容量モデル製品がラインナップされているのが、オムロンです。
オムロンの蓄電池の中には、塩害地域への設置にも対応している機種もあり、これまで太陽光パネルや蓄電池が設置できなかった地域への設置が可能になりました。
また、停電時でも安心な全負荷型で、200V家電にも対応しています。
世界最小クラスのコンパクトサイズで、省スペースにハイブリッド型蓄電池を設置したい人におすすめです。
- パワーコンディショナ
型番 | KPBP‐A/KPBP‐B |
変換効率 | 95% |
出力(定格/自立運転) | 5.6kWh/4.0kVA |
サイズ | 450×562×232㎜ |
- 蓄電池
型番 | KP‐BU164‐S |
容量 | 16.4kWh |
サイズ | 490×1010×295㎜ |
重さ | 150kg |
サイクル数 | 11,000回 |
保証 | 15年間
(蓄電容量60%以下で無償交換) |
シャープ
2017年に蓄電池の販売台数全国1位になった実績もある、大手電機メーカーのシャープ。
シャープが販売している蓄電池は、蓄電池・ハイブリッドコンディショナ・蓄電状況が一目で分かるモニターがセットになった、クラウド蓄電池システムです。
蓄電池容量は4kWh〜13kWhと4種類のラインナップから選べ、世帯人数や利用したい目的に応じて、ご家庭にぴったりの蓄電池を選ぶことができます。
200Vの電化製品にも対応しているため、オール電化のご家庭にもおすすめです。
- パワーコンディショナ
型番 | JH-55KT3B |
変換効率 | 95.5% |
出力(定格/自立運転) | 5.5kW/2.0kVA |
サイズ | 666×201×429㎜ |
- 蓄電池
型番 | JH‐WB2021 |
容量 | 9.5kWh |
サイズ | 560×470×685㎜ |
重さ | 120kg |
サイクル数 | 12,000回 |
保証 | 有償:15年間
無償:10年間 |
田淵電機
田淵電機は、太陽光発電システムのパワーコンディショナで国内トップクラスのシェアを誇ります。
全負荷型タイプかつ、200Vの電化製品に対応したハイブリッド型蓄電池がラインナップされているため、停電時に備えたい人に特におすすめのメーカーです。
また、15年間の長期保証期間が設けられているため、長く安心して使いつづけることができます。
- パワーコンディショナ
型番 | EHF-S55MP3B |
変換効率 | 太陽光発電:96% |
出力(定格/自立運転) | 5.5kW/5.5kW |
サイズ | 445×698×198㎜ |
- 蓄電池
型番 | EOF-LB70-TK |
容量 | 7.04kWh |
サイズ | 508×1070×370㎜ |
重さ | 130kg |
サイクル数 | 12,000回 |
保証 | 15年間
(蓄電容量60%以下で無償交換) |
ニチコン
ニチコンは、家庭用蓄電池の累計販売台数国内1位を誇るメーカーです。
大容量・全負荷タイプ・200Vの電化製品に対応と、高スペックなハイブリッド型蓄電池が販売されています。
設置可能温度範囲は「-30°C〜40℃」となっており、北海道などの寒冷地でも設置することが可能です。
15年間の保証期間に加え、10年間の自然災害補償が付帯されるなど、サポート面も充実しています。
- パワーコンディショナ(内蔵)
型番 | ‐ |
変換効率 | 太陽光発電:95%
蓄電池:94% |
出力(定格/自立運転) | 5.9kW/5.9kVA |
サイズ | ‐ |
- 蓄電池
型番 | ESS-H2L1/ESS-H2LS |
容量 | 12.0kWh |
サイズ | 1,060×1,250×300㎜ |
重さ | 254kg |
サイクル数 | ‐ |
保証 | 15年間
自然災害補償:10年間 (蓄電容量60%以下で無償交換) |
まとめ
この記事では、ハイブリッド型蓄電池のメリットやデメリット、主な販売メーカーについてご紹介しました。
「FIT(固定価格買い取り制度)」期間が順次終了する時期を迎えていることから、家庭用蓄電池を導入し、自家消費を検討されているご家庭も多いのではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしたとおり、家庭用蓄電池には「単機能型」と「ハイブリッド型」の2種類があり、特にハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電システムとの相性が良いとされます。
太陽光発電システムと蓄電池を合わせて使いたい場合や、停電時にしっかり備えたい場合は、ぜひハイブリッド型蓄電池の導入を検討してみてくださいね。