2022年4月19日
【エアコンの電気代を安くするには?】効果的な節電方法を解説

猛暑の夏、極寒の冬でも快適に生活するために必須なエアコン。
「でもエアコンを使うと電気代が・・・」と悩んでいる人は多いことでしょう。
少しでもエアコンの電気代を安くするには、どうすればよいのでしょうか。
この記事ではエアコンの電気代の計算方法をはじめ、冷房/除湿/暖房といった運転モードによる違いや、エアコンの電気代を安くするための具体的な方法を解説します。
ぜひ参考にして、実践してみてください。
1.エアコンの電気代を安くするために必要な基礎知識
エアコンの電気代を安くするために、まずはエアコンにどれくらいの電気代がかかっているのかを計算しましょう。
まずはエアコンの電気代を計算するために必要な基礎知識として、消費電力量と電気料金単価を理解する必要があります。
■エアコンの消費電力量
消費電力量はエアコンのカタログ等からだいたいの値を確認できます。
例えば図の10畳用エアコンの場合、暖房時の消費電力は680W(0.68kW)です。
実際の消費電力は気温や設定温度によって変動(最低110W〜最高1,995W)しますが、仮に680Wの消費電力で1時間暖房した場合の消費電力量は、以下の式で計算できます。
消費電力量[kWh] = 消費電力[kW]× 1[h]= 0.68[kW]× 1[h]= 0.68[kWh]
参照元:日立製作所HP
■電気料金単価
電気料金単価は契約している電力会社やプランによって異なります。
例えば東京電力のスマートライフL(オール電化プラン)の場合、昼間の契約単価は25.8円/kWhです。
ここに、毎月変動する燃料調整費と再生可能エネルギー発電促進賦課金も加味する必要があります。
2022年1月を例にすると、燃料費調整単価が-0.53円/kWh、再エネ賦課金単価が3.36円/kWhであり、契約単価・燃料費調整単価・再エネ賦課金単価を全て合計した28.63円/kWhが、実質的な電気料金単価となります。ご自宅の電気料金請求書等で確認してみましょう。
参照元:東京電力エナジーパートナーHP
2.エアコンの電気代を計算する方法
消費電力量と電気料金単価が理解できたところで、エアコンの電気代を計算してみましょう。
■エアコン1時間使用時の電気代
エアコン1時間使用時の電気代は、以下の式で計算できます。
1時間の電気代[円] = 消費電力量[kWh] × 電気料金単価[円/kWh]
先ほどの消費電力量と電気料金単価をあてはめると、
1時間の電気代[円]= 0.68[kWh]× 28.63[円/kWh]≒ 19.47[円]
1時間の電気代に1日の使用時間と月の日数を掛けると、1か月の電気代も計算できます。
1日4時間、1か月間(30日)毎日使用した場合、
1か月の電気代[円]=19.47[円/h]× 4[h/日]× 30[日]≒ 2,336[円]
1か月のエアコンの電気代がわかると、どの程度安くできるかもイメージしやすくなるため、計算してみましょう。
■エアコンを1年間使用した時の電気代
エアコンを1年間使用した時の電気代は、「期間消費電力量」から計算できます。期間消費電力量は1年を通じてエアコンで冷暖房をした場合に消費する電力量の目安で、カタログ等から確認できます。先ほどの10畳用エアコンの期間消費電力量は768kWhであり、電気料金単価28.63円kWhの場合、以下の通り計算できます。
1年間の電気代[円]= 768[kWh]× 28.63[円/kWh]≒ 21,988[円]
あくまでも目安の数字ですが、年間で節約できるポテンシャルを把握できるため、節約のモチベーションにも繋がるでしょう。
■エアコンの消費電力量を測定する
ここまではエアコンのカタログ等から消費電力量を想定し、電気料金を計算してきましたが、実際にエアコンの消費電力量を測定することで正確に電気代を把握することが可能です。
「ワットチェッカー」はその時使用している消費電力や、消費電力量の積算値を見える化できます。
8畳用までのエアコンであれば、電源コードとコンセントの間にワットチェッカーをかませるだけの簡易なものが1000円程度から市販されています。
10畳用以上のエアコンの場合は分電盤内の配線にクランプさせるタイプとなりますが、3000円程度で購入可能です。
エアコンの消費電力量は各家庭の使用方法や環境によって異なります。
消費電力量の見える化は効果的な節電に繋がりますので、活用してみてください。
参照元:サンワサプライHP
3.エアコンの電気代を安くする方法
エアコンの電気代について理解できたところで、実際に電気代を安くする方法を解説します。
①設定温度の見直し
設定温度の見直しは以下の効果があるとされています。
夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%の消費電力削減
冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の消費電力削減
快適性や体調を考慮しつつ、夏の冷房時の室温は28℃、冬の暖房時の室温は20℃を目安に設定しましょう。
②自動運転モードの利用
運転モードは風量固定よりも自動運転がおすすめです。
エアコンが勝手に最も効率的に設定温度を保つ運転をしてくれます。
最近は部屋の人数や人の体感温度を考慮してくれる等のAI機能を備えた機種もあり、使いやすくなっています。
③短時間の外出ならつけっぱなし
エアコンは長時間の外出であれば消した方がよいですが、短時間(30分が目安)であれば、つけっぱなしが良いとされています。
エアコンは付け始めてから設定温度になるまでの消費電力が一番大きく、こまめに入切し過ぎると、かえって消費電力が大きい時間が長くなってしまうため注意が必要です。
④室内機の定期的な清掃
エアコンのフィルターはこまめに(目安は2週間毎)清掃することを心がけましょう。
フィルター清掃を怠ると、目詰まりを起こして本来の風量が確保できず、冷暖房効果も感じにくくなります。
2週間に1度は大変・・・という方には、自動お掃除機能を備えたエアコンも有効です。
⑤室外機周りの空間確保
室外機の前を物やフェンス等で塞いでしまうと、室外機から放出された高温/低温の空気が滞留し、消費電力が大きくなります。
室外機周りには空間を確保しましょう。
やむを得ず室外機前を塞いでしまう場合は、風向調整板の活用もおすすめです。
⑥窓の断熱、日射の活用
窓に断熱シートを貼ったりカーテンを閉めて断熱性を高めることで、窓の熱損失が減ってエアコンの電気代を削減できます。
また、暖房時は日中の窓からの日射を取り込む(冷房時は遮る)ことも重要です。
カーテンを上手に使って、日射をコントロールしましょう。
⑦冷房時の扇風機併用
冷房時は扇風機を併用しましょう。
風が体にあたると体感温度が下がるため、エアコンの設定温度を高くしても快適性を保つことができます。
⑧省エネ性の高いエアコンへ入れ替え
古い機種から最新型エアコンへ更新することも有効です。
しかし日本のエアコン性能はかなり高く、近年効率は頭打ちになってきています。
使っている機種と新しい機種の期間消費電力量の差から安くなる電気代を計算し、更新にかかる費用と比較して決めるとよいでしょう。
⑨服装により体感温度を調整
エアコンだけに頼らず、服装で体感温度を調整することも節電につながります。
基本的なことですが、暑いときは薄着、寒いときは厚着にしましょう。
⑩高性能な住宅に住む
ハードルは最も高いですが、エアコンの電気代を安くするには最も効果的な方法です。
断熱性・気密性が高い住宅はそもそもの冷暖房負荷が小さくなります。
新居購入や住み替えの際は、高気密・高断熱住宅も検討してみてください。
4.エアコンの仕組み
そもそもエアコンはどのように冷房・暖房を行っているのか?
以下では、エアコンの仕組みについて解説します。
■エアコンの仕組み
エアコンは「ヒートポンプ」という仕組みを利用して冷暖房を行っています。
その名のとおり、熱を運ぶシステムです。
図(暖房時)のように室外から熱を運んで室内を暖めています。
逆に冷房時は室内から室外へ熱を運んで室内を冷やしています。
このとき、熱を運ぶ動力として電力が消費され、エアコンの電気代が発生しています。
■エアコンの効率(COP)
ヒートポンプは熱を運ぶ仕組みのため、消費する電力の数倍の冷暖房効果を得られます。
この効率をCOP(成績係数、Coefficient Of Performanceの略)といいます。
図の例では、消費電力1kWに対する暖房効果は6kWであり、COP=6です。
逆の冷房の場合は消費電力1kWに対して冷房効果5kWであり、COP=5です。
通常の暖房器具は、電気や燃料を直接ヒーターや燃焼により熱として利用するため、効率が良くてもCOP=1を超えることはありません。
COPで見てみると、エアコンが非常に高効率なシステムであることがわかります。
5.エアコンの冷房・暖房・除湿の違い
エアコンの仕組みを理解したところで、運転モードによって電気代がどう違うのかを解説します。
■暖房は冷房より電気代がかかる
エアコンの暖房と冷房を比較すると、暖房の方が電気代がかかります。
それぞれの室内と室外の温度を比較すると、
冷房:外気36℃、室内28℃ →温度差8℃
暖房:外気2℃ 、室内20℃ →温度差18℃
この温度差がエアコンの果たすべき仕事量と考えると、暖房は冷房の倍以上であり、エアコンの消費電力量も大きくなることがイメージ出来ると思います。
夏と冬の電気料金明細書を見比べると、電気使用量は冬の方が多いはずです。
確認してみましょう。
■エアコンは除湿も兼ねる
夏の暑い日に、冷たい飲み物を入れたコップに水滴がびっしり付いたという経験があると思います。
空気中に含むことができる水分の量(飽和水蒸気量)は温度が低いほど少なくなるため、コップ周りの空気が冷やされ、空気中に含むことができなくなった水分が液化(結露)して現れたものです。
エアコンはこの原理を利用して、冷房と同時に除湿を行っています。
■冷房と弱冷房除湿の違い
エアコンの冷房は温度を設定値まで下げることを目的としたモードです。
一方除湿(ドライ)は、湿度を設定値まで下げることを目的としたモードです。
微弱な冷房運転を継続することで先程の原理により除湿するため、弱冷房除湿と言われます。
つまり、やっていることは弱い冷房であるため、通常の冷房と弱冷房除湿の電気代を比べると弱冷房除湿の方が少なく済みます。
■弱冷房除湿と再熱除湿
エアコンの除湿には弱冷房除湿と再熱除湿の2種類があります。
再熱除湿は一部メーカーのエアコンに搭載されています。
弱冷房除湿は部屋の温度も下がりますが、再熱除湿は除湿して温度が下がった空気を暖め直して送風するため、部屋の温度低下を防ぎます。
梅雨時期など、低温高湿の時期には部屋が寒くならない再熱除湿が役立ちます。
しかし、暖め直す過程で電気を使うため、再熱除湿の方が電気代はかかります。
■運転モードの違いまとめ
エアコンの冷房・弱冷房除湿・再熱除湿についてまとめると、図の通りです。
違いを理解して、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
参照元:ダイキンHP
6.エアコンの活用で他設備の電気代を安くする方法
エアコンの運転モードによる電気代の違いについて理解したところで、エアコンを活用した、他の設備の電気代を安くする方法を解説します。
■暖房はストーブではなくエアコンを使う
暖房はエアコンがおすすめです。
電気ストーブ・オイルヒーター・パネルヒーター・石油ファンヒーター、床暖房等、いずれも器具の近くはあたたかいものの、部屋全体を暖めるには大きなコストがかかります。
エアコンの仕組みでも説明したとおり、通常の暖房設備がCOP=1未満であるのに対し、エアコンはヒートポンプのためCOP=5以上あります。
部屋を暖める電気代が5分の1で済むということです。
「部屋は寒いまま手元足元だけ暖かくなればよい!」という方以外はエアコンで暖房するとよいでしょう。
*断熱ナシで隙間風が入り放題の古い建物の場合、いくら暖房しても外に熱が逃げるため、エアコンを使用せずに手元のみ暖める方が良いケースもあります。
■梅雨・夏季の洗濯物の部屋干しにエアコン除湿
洗濯物の乾燥にエアコンの除湿を活用することで、電気代を安くできる可能性があります。
梅雨や夏場の湿度が高い時期は、除湿器・衣類乾燥機・浴室乾燥機等を利用する方も多いでしょう。
それぞれ一長一短ありますが、どれもエアコンに比べて除湿量あたりの電気代は高くなります。
それらの設備の代わりに、エアコンが運転している部屋に洗濯物を干すだけでよいので実践してみましょう。
ただ、エアコンは部屋の温度が下がると自動で停止してしまうため工夫が必要です。
筆者のおすすめは、冷房運転(除湿ではない)で風量を最弱にして設定温度は低くする(20℃等)ことです。
風量最弱であれば消費電力は大きくなく、部屋の温度も下がり過ぎず、除湿多めで運転を継続してくれます。
■冬の加湿にお風呂と洗濯物
冬にエアコンで暖房すると乾燥するので、加湿器を使用するという方は多いでしょう。
そんな時におすすめの方法は、風呂の乾燥と洗濯物の部屋干しによる加湿です。
風呂に入った後の乾燥は、換気扇や浴室乾燥機を回してドアを閉めるのが一般的だと思います。
風呂の換気扇は止めたまま、ドアを開け、エアコンで乾燥した暖かい部屋の空気を扇風機で風呂に送ってあげましょう。
そうすると、風呂場の湿気で部屋を加湿しつつ、風呂場を乾燥させることができます。
風呂場に隣接した部屋がエアコンで暖められている場合にのみに有効な手法ですが、加湿器の電気代・浴室乾燥機の電気代を安くできます。
洗濯物も同様に、エアコン暖房している部屋に干すことで部屋を加湿することができ、加湿器の電気代を安くできます。
また、衣類乾燥機や浴室乾燥機を使用している場合は、部屋干しへの切替でも電気代を安くできます。
エアコンの電気代の計算方法から、エアコンの電気代を安くする方法、さらには他設備の電気代を安くするためのエアコン活用方法についても解説してきました。
本記事で解説した方法を実践していただければ、消費電力量は減少し、電気代は安くなります。
年々上昇している電気代を少しでも安くして、家計の負担を減らしていただければと思います。
ぜひ、実践ください。