2022年5月31日
【日産リーフは動く蓄電池】日産リーフの活用ポイントと補助金を解説

阪神淡路大震災や熊本地震、西日本大豪雨など多くの自然災害の復興には、ライフラインの復旧が大きな足がかりとなりました。
東日本大震災では深刻なガソリン不足に陥り、人道支援のために物資を移送することも困難な状況のなか、日産自動車が先陣を切って各自治体にリーフの無償貸出を行いました。
インフラの中でも、比較的早く復旧した電気で動くリーフは、混乱が続く中で震災復興に大きく貢献しました。
リーフが「非常用電源」として多くのニーズがあり、大活躍したことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、日産リーフ最大の魅力である大容量蓄電池の活用ポイントやメリット、補助金について詳しく解説しています。
定置型の家庭用蓄電池と迷われている方にも、電気自動車の魅力が伝わる内容となっていますので参考にしてみてください。
日産リーフには大容量の蓄電池が搭載
日産リーフは大容量の蓄電池を備えており、一般的な定置型の家庭用蓄電池よりも多くの電力を蓄えることができます。
定置型蓄電池とは違って、蓄電池そのものが移動できるため災害時にガソリンが無くなっても「走る蓄電池」として、電気のエネルギーを利用しつつ、電気自体を届けることもできます。
家庭で使える蓄電池
日産リーフは心地よい走行だけでなく、蓄電池として家庭に電気を供給できます。
リーフのラインナップには、60kWhのe+と40kWhのバッテリー搭載車があります。
60kWhの大容量蓄電池が搭載されたリーフe+は、家電の消費電力約4日分をカバーします。
1kWhの電力量は、消費電力1,000wの家電を1時間使用できることを意味しており、リーフの蓄電池が、かなりの大容量であることがわかります。
環境省によると1世帯が1年間に消費したエネルギー(2017年度)は、全国平均で4,322kWh、1日に換算すると約12kWhになります。
参照元:環境省「2017年度の家庭のエネルギー事情を知る」より
1日の電力量12kWhで使用できる家電や使用時間の目安は、下記となっております。
だいたいの目安として、参考にしてください。
1日の電力量12kWhの使用例
家電 | 定格電力(W) | 使用時間 | 想定使用電力(Wh) | 電気代 |
---|---|---|---|---|
掃除機 | 720 | 10分 | 120 | 2.3 |
スマホ充電器(父) | 5 | 1時間 | 10 | 0.2 |
スマホ充電器(母) | 5 | 1時間 | 10 | 0.2 |
スマホ充電器(子ども) | 5 | 1時間 | 10 | 0.2 |
PC充電器 | 61 | 30分 | 30 | 0.6 |
テレビ | 181 | 2時間30分 | 450 | 8.8 |
加湿器(~8畳) | 26 | 45分 | 20 | 0.4 |
クーラー(寝室&リビング) | 1620 | 3時間 | 4860 | 94.9 |
照明(寝室6畳) | 21.3 | 2時間 | 40 | 0.8 |
照明(子ども部屋6畳) | 21.3 | 4時間 | 90 | 1.8 |
照明(リビング18畳) | 69.9 | 5時間 | 350 | 6.8 |
コーヒーメーカー | 700 | 15分 | 180 | 3.5 |
冷蔵庫(473L) | 92 | 24時間 | 2210 | 43.1 |
ホットプレート | 800 | 30分 | 400 | 7.8 |
ヘアアイロン | 700 | 10分 | 120 | 2.3 |
オーブンレンジ | 1375 | 10分 | 230 | 4.5 |
ドライヤー | 1200 | 15分 | 300 | 5.9 |
IH | 2000 | 30分 | 1000 | 19.5 |
スチームアイロン | 1000 | 5分 | 80 | 1.6 |
TVゲーム | 230 | 30分 | 120 | 2.3 |
風呂/シャワー | 1340 | 45分 | 1010 | 19.7 |
洗濯機 | 190 | 45分 | 140 | 2.7 |
換気扇 | 31 | 30分 | 20 | 0.4 |
合計 | 11800Wh | 230.3円 |
※実際の電力使用量・電気料金は、使用環境、住環境、季節、電力プラン等の条件により増減します。
※1000Wh=19円52銭で計算(東京電力「従量電灯B」 第一段階(使用量120kWh以下))
蓄電池として利用するにはV2Hシステムが必要
日産リーフを蓄電池として利用するためには、V2Hと呼ばれるシステムが必要です。
V2Hシステムとはビークルトゥホーム(Vehicle to Home)の略よなっています。
EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)に搭載されている蓄電池から送られる電力を、家庭でも使えるようにする装置としてV2Hが活躍します。
V2Hシステムがリーフの蓄電池から、家の分電盤へつなぐパイプ役となることで、家中のコンセントから電気が使えるようになります。
つまり、V2Hは蓄電池用の電気を家庭で使うための電気の変換器のようなイメージです。
そんなV2Hの主な役割は、具体的には次の2点になります。
- 家からEVに充電する役割
- 家からの電気(交流)をV2Hで電気(直流)に変換して充電する
- EVからの電気を家庭に送る役割
- EVからの電気(直流)をV2Hで電気(交流)に変換して給電する
上記のように、充電や給電には電気を変換する必要があります。
V2Hを導入するメリットは次の3点です。
- 充電時間の短縮化が図れる
- V2Hシステムの充電時間は家庭用200Vコンセントの約2分の1で完了するため、急なドライブでも快適に充電できます
- 電気代を節約できる
- 太陽光発電の余剰電力をEVに充電し、家庭の電力消費が増えたときに放電することで電気代が抑えられる
- 割安な夜間電力をEVに蓄電して、電気代の高い時間帯に家庭に給電することで電気代削減につながる
- 非常用電源として使える
- 長期停電のとき、EVに蓄えられた電力を家庭に供給できる
日産リーフを蓄電池として利用する
日産リーフの蓄電池は、電気を貯めて家庭で使えるだけでなく非常用電源としても活用できます。
リーフに搭載されている蓄電池を有効的に活用して、電気とかしこく付き合いましょう。
通常時の蓄電池利用
卒FIT対策として、余剰電力を売電から自家消費にする場合、定置型蓄電池やエコキュート導入だけではなく、日産リーフを蓄電池として利用する方法があります。
日産リーフを走るだけに利用するのではなく、蓄電池として家庭への給電や余剰電力の蓄えにも活用することができます。
- 夜に貯めて昼に使う
- 電気代が割安な夜間にリーフを充電して昼間に使えば、節電と電力のピークシフトに貢献できます
- 昼に貯めて夜に使う
- 太陽光発電と組み合わせて昼にリーフに電気を貯めて、夜に給電して家庭で使えば、エネルギーの一部を自給自足できます
災害時の蓄電池利用
自然災害などでライフライン(電気・ガス・水道・燃料)が断たれたとき、日産リーフは移動ツールとしてだけでなく、家庭や避難所への電力供給に利用できます。
リーフに搭載される60kWhと40kWhのバッテリーは、一般家庭の2〜4日分の電力量があります。
停電が起って電気がストップしても、リーフがあれば蓄電池からの電力供給で日常通りの生活が行えます。
一方で蓄電池が無い場合、停電が起きると照明はもちろん、テレビからの情報も遮断され、暗い部屋で長時間過ごさなければいけません。
冷蔵庫の中身が痛んだり、エアコンが使えないため、体調不良が起きたりする可能性も考えられます。
もしもの時も、日産リーフ内の蓄電池から電気をまかなえることは、停電時の生活の大きな備えとなるでしょう。
日産リーフを活用するメリット
電気を燃料として走行するリーフは、CO2の排出が少なく、地球環境に貢献するメリットがあります。
リーフは地球に優しいだけではなく、ほかにも次のようなメリットが挙げられています。
- 定置型蓄電池と比べて大容量
- ランニングコストを抑えられる
- 家全体で電気が使える
- 自動車としても高性能
- 上手く活用すれば燃料代が節約できる
定置型蓄電池と比べて大容量
リーフの蓄電容量が40〜60kWhに対し、定置型蓄電池の中でも容量が大きなニチコン製「ESS-U4X1」でも、貯められる電力は16.6kWhです。
蓄電容量の大きさは、多くの電気が貯められることを意味しています。
台風や地震などの災害時は、何日間も電力供給が遮断される可能性があるので、少しでも多くの電気を確保することを考えるのであれば、定置型蓄電池よりも大容量な日産リーフが断然おすすめとなります。
ランニングコストを抑えられる
日産リーフは、ガソリンではなく電気を利用して走行します。
電気代はガソリン代や軽油と比べて、安価なのでランニングコストを抑えられます。
例えば1,000kmを走行する場合、試算条件※をもとに計算するとガソリン車の燃料代は7745.45円なのに対して、日産リーフe+の電気代は2967.16円となり、その差額は約4,780円になります。
※試算条件
資源エネルギー庁 令和4年5月16日時点のレギュラーガソリン店頭現金小売価格170.4円/L 国土交通省 平成30年度ガソリン乗用車のJC08モード燃費平均値22.0km/L 日産自動車 リーフe+ 実電費平均6.7km/kWh 東京電力エナジーパートナー スタンダードSプラン19.88円/kWh |
リーフの充電に割安な夜間電力を利用すると、さらに電気代を効率的に抑えることができるでしょう。
家全体で電気が使える
リーフに蓄電した電力は優れたエネルギー源として、家全体のさまざまな家電製品の電源として使用できます。
東日本大震災時の電力復旧率を見てみると、3日目で停電世帯の75%が復旧しています。
他のインフラと比べると電気の復旧は早いですが、25%は3日目でも停電したままであり、1~3日は多くの世帯が停電することがあるのが実情です。
そんな大規模停電時でも、約2〜4日分の家庭の消費電力をまかなえるリーフがあれば、そこまで生活に困ることはなく普段の日常生活がおくれることでしょう。
自動車としても高性能
日産リーフはEVの特性を活かした静粛性とスムーズで力強い加速に魅力があります。
モーターで走行するリーフは、発進時から高いトルクを発生させ、アクセルを踏み込むと一気に加速します。
追い越しや高速での合流もストレスフリーで快適なドライブを楽しめます。
さらに、エンジンを始動するときや、アイドリングで停車しているときに音や振動がないので早朝や夜間でも静かに走行できます。
60kWhのバッテリー搭載のリーフe+は、カタログ上で航続距離が450kmあり長距離ドライブも気軽に楽しめます。
上手く活用すれば燃料代が節約できる
日産リーフとV2Hを上手く活用すれば、太陽光発電で作られた電力を全てリーフに充電することができます。
充電サイクルが効率よく回れば、家庭の充電設備や公共の充電スタンドを利用しなくても、自動車と蓄電池の2つの役割を果たすことも可能でしょう。
日産リーフに関する補助金と優遇策
日産リーフは購入時に国の補助金やエコカー減税など、次のような優遇策を受けることができます。
それぞれの補助金について、概要を解説します。
- 令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」
- 令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」
- エコカー減税
- 自治体の補助金
- V2H補助金
令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」/令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」
EVやPHEV、FCV(燃料電池自動車)、CDV(クリーンディーゼル自動車)などのクリーンエネルギー自動車に対して、国からの補助金制度が受けられます。
ガソリン車との車両購入負担額を低減するため、購入車両ごとに補助金支給額(最大85万円)が設定されています。
日産リーフの補助金額は下表になります。
日産リーフ | ||
40kWh | X | 78.6万円 |
XV | ||
G | ||
NISMO | 53.1万円 | |
AUTECH | 73.2万円 | |
e+ | X | 85万円 |
G | ||
AUTECH |
補助金対象者と補助対象登録期間は次の通りです。
- 補助対象者
- 個人・民間業者・地方公共団体(リース購入も対象)
- 補助対象登録期間
- 令和3年度補正事業 2021年11月26日以降
- 令和4年度事業 2022年4月1日以降
参照元:一般社団法人「次世代自動車進行センター」令和4年度 CEV補助金(車両)のご案内より
参照元:経済産業省 令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」より
エコカー減税
排出ガスや燃費に優れた自動車に対して、自動車重量税の免税や減税が受けられる制度です。
さらに自動車税が優遇されます。
例えば、日産リーフe+ G(2WD)の場合、エコカー減税で自動車重量税(30,000円)が100%減税されて0円になります。
自動車税(25,000円)は登録の翌年に75%減税(18,500円)され、差額の6,500円が支払い税額となり、合計48,500円分の減税となります。
グレードごとの優遇総額の詳細ついては、「日産リーフ エコカー減税対象グレード」をご覧ください。
自治体の補助金
EVやPHEV、FCVなどの車両に対して、地方自治体独自の補助制度がある場合があります。
例えば、東京都で日産リーフなどのEVを購入する場合、FCV・EV・PHV車両(燃料電池自動車等の導入促進事業・電気自動車等の普及促進事業)の補助金事業に申請すれば、45万円の補助金を受けることができます。
各自治体の補助金内容については、次世代自動車振興センター「全国の補助事業」をご覧ください。
V2H補助金
令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の一環で、V2H充放電設備に対して補助制度が設けられています。
補助制度の概要を下表に示します。
V2H充放電設備 | |
設備費 | 上限75万円(補助率1/2) |
工事費 | 上限95万円(法人)(補助率10/10)
上限40万円(個人)(補助率10/10) |
外部給電器 | |
設備費 | 上限50万円(補助率1/3) |
補助対象 | V2H設備の購入費・工事費の一部
外部給電器の購入費の一部 |
補助対象者 | 対象設備を設置する個人・法人・地方公共団体など |
申請期間は、令和4年5月下旬からの受付になります。
V2H設備設置と申請に関するQ&Aがこちらでご覧になれますので、参考にしてください。
まとめ
日産リーフは静寂性に優れ、安定した操縦とスムーズな加速が魅力的な自動車という面だけではなく、大容量のバッテリーを搭載する「走る蓄電池」として多くの活用方法をお伝えしました。
V2Hを導入すれば、リーフを非常用電源として活用したり、リーフに貯めた電力を有効利用することで電気代を節約したりできます。
世界的に地球環境問題が大きく取り上げられるなか、EVへの注目が高まっています。
EVの普及促進に向けた国や各自治体の補助金などの施策があるこの機会に、日産リーフの導入を検討してみてはいかがでしょうか。