2022年10月31日
エコキュートとは?仕組みや導入のメリット・デメリットを簡単に解説

エコキュートは、ガスを使わずに電気でお湯を沸かす給湯器です。「導入すると電気代が安くなる」という話を聞いたことのある人もいるでしょう。
しかし、給湯器であることは知っていても、その仕組みや導入するメリットについては、まだよく理解できていない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、エコキュートの仕組みや導入のメリット・デメリットを中心に解説しています。
お得に使う方法やメンテナンスについてもあわせて紹介していますので、エコキュートの購入や交換、買い替えを検討している方は、ぜひご覧ください
エコキュートとは?
エコキュートは、簡単にいうと「空気中の熱を使い、効率よくお湯を沸かす給湯器」のことです。
給湯器は、浴槽にお湯を張ったりキッチンで使ったり、家庭で使うお湯をまかなっています。
給湯器と聞くと、ガスや電気でお湯を沸かすイメージがある人も多いでしょう。給湯器の稼働には、ガスや電気、石油などといった熱源が必要です。
エコキュートは、電気に加え、空気中の熱の力を使ってお湯を沸かす「ヒートポンプ技術」を採用しています。
エネルギーの使用量が少なく済むため、効率よくお湯を沸かせるほか、省エネにつながるのもメリットです。
エネルギー効率の良い環境にやさしい機器として、近年導入する家庭が増えてきています。
エコキュートの仕組み
エコキュートは、空気中の熱を集め、その熱を冷媒が運ぶ「ヒートポンプユニット」を使用してお湯を沸かします。
冷媒とは熱を伝える気体のことをいい、エコキュートでは自然冷媒の一つとされている「二酸化炭素」を使用しています。
「ヒートポンプ技術」は、空気中から熱(ヒート)をくみ上げる(ポンプ)といった仕組みから、そう呼ばれているのです。
お湯の作り方
エコキュートは、「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」がセットで稼働しています。
ヒートポンプユニットで空気中の熱を取り入れ、水にその熱を送るという仕組みです。
熱を受け取った水は高温化してお湯になり、貯湯タンクの中で保温されます。
ファンを回して空気を取り込むため、ヒートポンプユニット内は、自然冷媒である二酸化炭素が循環しています。
【お湯を沸かす仕組み】
- ファンを回して空気を取り込み、その集めた空気を「空気熱交換器」に送る
- 空気熱交換器で熱を冷媒に移し替え、その熱を持った冷媒を圧縮機に送る
- 圧縮機に送られた冷媒を圧縮するとさらに温度が上昇し、その冷媒を「水熱交換器」へ送る
- 水熱交換器で冷媒の熱を水に移し替え、熱を受け取った水はお湯となり、そのお湯を貯湯タンク内で保温する
貯湯タンクに送られてからは、約65〜90℃で保温されます。
熱を水に渡した冷媒は膨張弁に移され、膨張されることで温度が下がります。
温度が下がった冷媒は、再度「空気熱交換器」へ移動し、再び空気の熱を受け取ります。
この仕組みを繰り返すことで、水温がどんどんと上昇していくのです。
燃料を燃やしたりヒーターを温めたりして、お湯を作る仕組みとは異なることが分かるでしょう。
エコキュートは、お湯を沸かすためでなく、二酸化炭素の圧縮や膨張、空気を取り込むために電気を使っているのです。
自然冷媒とは?
「冷媒」は熱を伝える役割を持っている気体のことで、エコキュートだけではなく、エアコンや冷蔵庫などでも使われています。
もともと自然界に存在している「二酸化炭素」を冷媒に使うことから、エコキュートの冷媒は「自然冷媒」と呼ばれます。
二酸化炭素の他に使われる冷媒として代表的なものには「フロン」が挙げられるでしょう。
フロンはオゾン層を破壊する性質を持っているため、使用が規制されている気体です。
その一方、二酸化炭素は発生したものを再利用するだけですので、環境にやさしい方法であるといえます。
エコキュートを導入するメリット
エコキュートを導入するメリットとしては、下記の4点が挙げられます。
- 光熱費を節約できる
- 環境にやさしい
- 非常時に役に立つ
- 補助金が出るケースがある
それぞれ詳しくみていきましょう。
光熱費を節約できる
エコキュート導入の最大のメリットは、光熱費を節約できるという点にあります。
エコキュートは空気と電気を使用するため、エネルギー使用量が少なく済みます。長い目でみると、光熱費の削減に大きく貢献してくれるでしょう。
また、基本的には電気単価が安い深夜電力を使うため、さらにランニングコストを抑えられます。
ただし、深夜電力を使うには、オール電化にするのが必須です。オール電化専用のプランで電力契約をすることで、より光熱費を節約できます。
環境にやさしい
エコキュートを動かすために用いられる自然冷媒は「再生可能エネルギー」のため、環境にやさしいといえます。
再生可能エネルギーを利用することは、地球温暖化を防止するだけでなく、エネルギーの自給率 アップにもつながります。
エネルギーの消費量を最大限抑える「省エネ」と、自国でエネルギーを生産する「創エネ」、どちらにおいても大きな貢献をするエコキュートは、環境に配慮された偉大な製品であるといえるでしょう。
非常時に役に立つ
災害が発生し停電や断水が発生した時でも、貯湯タンクのお湯を使うことができます。
また、災害時は、水道やガスに比べ、電気の復旧が早い傾向にあります。
貯湯ユニットのお湯は一定期間貯蔵されているため、飲むのはあまりおすすめできません。
とはいえ、非常時に使う生活用水としては大いに役立つでしょう。
万が一の事態のことを考えると、ガス給湯器よりもエコキュートを導入している方が、より安心感につながるといえます。
補助金が出るケースがある
環境に優しい製品であることから、設置費用に対して補助金を出す地方自治体があります。
後に紹介しますが、エコキュートは設置費用が高い傾向にあります。
しかし、補助金を使えば少しでも安く設置できる可能性もなくはありません。
なるべく安くエコキュートを導入したいと考える方は、設置を検討する際に、補助金についても確認しておくと良いでしょう。
エコキュートを導入するデメリット
導入するメリットの多いエコキュートですが、反対に下記のようなデメリットもあります。
- 設置費用が高い
- 設置場所が必要
- 管理が必要
- 掃除が面倒
それぞれ詳しくみていきましょう。
設置費用が高い
エコキュートのデメリットとして第一に挙げられるのは、設置費用が高い点です。他の給湯器と比較しても、エコキュートの設置費用は高い傾向にあります。
比較的安いガス給湯器であれば、5万円前後で設置することが可能です。
その一方、エコキュートは安くても20万円程度はかかるといわれています。また、これらはあくまでも目安であり、容量や性能、機種などによってはさらに高額になることも珍しくありません。
補助金を利用しても、ガス給湯器より必ずしも安くなるとは限らないでしょう。
さらに、普段お湯のあまり使用しないご家庭であれば、費用対効果を実感するまでにある程度の時間がかかることがあります。
とはいえ、エコキュートの導入で光熱費を約1/3まで安くできた例があるのも事実です。
設置費用はかかってしまうものの、長期的にみて家計にプラスになる可能性もあります。まずは一度シミュレーションしてみると良いでしょう。
設置場所が必要
ガス給湯器と比べ、エコキュートは本体のサイズが大きく、さらにヒートポンプユニットと貯湯タンクの取り付けが必要なため、ある程度の設置場所が必要です。
また、設置した後にはわずかながら騒音が発生する可能性があります。
空いたスペースであればどこでも設置していいというわけでもないため、事前に施工業者と相談をして決めるのが良いでしょう。
お湯切れの可能性がある
エコキュートは、貯湯タンクにためたお湯に水を混ぜ、適温にしながらお風呂などに給湯を行います。
製品の特性上、貯湯タンク内のお湯がなくなってしまうと、水が水しか出なくなってしまいます。
一度水になってしまうと温めるのにはかなりの時間がかかってしまうため、お湯切れを防ぐために適切な容量のエコキュートを選ぶことが大切です。
エコキュートをよりお得に使う方法
エネルギー効率の良いエコキュートですが、よりお得に使いたいのであれば、太陽光発電と組み合わせて使うのがおすすめです。
太陽光発電は日中に多く発電しますが、昼間に家に人がいない家庭であれば、電気を使いきれないケースもあるでしょう。その場合は、電力会社などへ余剰電気を売ることが可能です。
しかし、売電単価は年々下がる傾向にあり、電気は売るよりも自家消費する方がお得になることが考えられます。
日中にお湯を沸かすようにコントロールすれば、太陽光発電で発電した電気を賢く使えるようになるでしょう。
夜間にお湯を沸かすのを減らし、余剰電気のある昼間に沸かすようにすれば、夜間の電気代を節約できます。
ただし、売電による収入は減ることとなるため、注意が必要です。
また、余剰電気がない場合には、昼間にエコキュートを稼働させることで電気代が高くなる可能性もあります。
エコキュートのメンテナンス方法
エコキュートの寿命は、10〜15年程度といわれています。より長持ちさせたいのであれば、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
エコキュートのメンテナンスは、そこまで手間のかかるものでもありません。
フィルター清掃
日常的に行っておくと良いのがフィルター清掃です。
エコキュートのフィルターは、浴槽の内部、循環口に取付けられています。
フィルターが目詰まりを起こしてしまうと、給湯がうまくできなくなったり配管トラブルを生じたりすることにつながりかねません。
お風呂掃除の際に、フィルターを外し、髪の毛やホコリを取るようにしてみてください。
もし細かいゴミが溜まっているようであれば、不要になった歯ブラシで取り除くと良いでしょう。
配管洗浄
エコキュートは、基本的には自動で配管洗浄を行う便利な機能が備わっています。
そのため、普段自分たちで配管まで掃除する必要はありません。
しかし、半年に一度程度洗浄を行うことで、より綺麗な状態を保つことができます。
半年に一度の洗浄といっても、そこまで難しくもありません。ドラッグストアなどで販売されている配管用の洗剤を使って洗浄するだけです。
ただし、洗浄剤には相性があります。洗浄剤を選ぶ際は、説明書をしっかりチェックしてくださいね。
定期的な点検
そのほか定期的に行いたいのは、水漏れ・逃し弁・漏電遮断器の目視確認です。
毎日行うわけではなく、気付いた時に確認するだけで問題ありません。
水漏れは、ヒートポンプユニットや貯湯タンクから水漏れをしていないか、逃し弁・漏電遮断器は、オン・オフがきちんと作動しているかをチェックしましょう。
まとめ
エコキュートの仕組みやメリット・デメリット、お得に使う方法、メンテナンス方法を解説しました。
エコキュートの導入は、光熱費の節約につながるだけでなく、環境にやさしい、災害時に役立つといったメリットがあります。
エコキュートにプラスし、オール電化や太陽光発電など、ご家庭のライフスタイルにあった機器を選ぶことで、より快適な暮らしの実現につながるでしょう。
エコキュートの交換や買い替えを検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。