2022年4月28日
【エコキュートの水圧が弱い?】原因や対処法をわかりやすく解説

エコキュートを導入するために検索していると、
「水圧が弱い」
「シャワーの水量が気になる」
「シャワーとキッチンで同時にお湯を使うと水量が……」
など水量や水圧問題が多くあり、実際のところどうなのかと気になっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、エコキュート導入による水圧の変化や原因、解決策などを詳しく解説しています。
主要メーカーの【パワフル高圧タイプのエコキュート】についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
エコキュートの水圧は本当に弱い?
ガス給湯器と比べると、エコキュートの水圧は確実に弱くなります。
というのも、水圧はエコキュートの構造にも大きく関係しています。
まずは水圧が弱くなる原因について解説していきます。
ガス給湯器に比べてエコキュートの水圧は?
水道圧力をそのまま利用できる水道直圧式のガス給湯器は、ボイラーで瞬間的に加熱し給湯できるため、高圧のままシャワーを楽しめます。
一方で貯湯式のエコキュートは、水道圧力のまま貯湯ユニットにお湯を貯めると水圧にタンクが耐えられず、故障する可能性があります。
そのため、一旦は減圧弁で水圧を下げてからタンク内に水を貯めなければいけません。
一般的な水道水の水圧は、およそ500kPaです。
しかし、エコキュートの場合は上記の減圧により、水圧が170〜190kPaまで下げられます。
そのため、標準的なガス給湯器と比較するとエコキュートの水圧は、3分の1程度まで減圧されていることが分かります。
住んでいる地域が原因の可能性も
転居と同時にエコキュートを設置して、今までと比べて水圧が弱くなったと感じるケースもあります。
シャワーや台所だけでなく、トイレや蛇口の水圧も弱い場合は、その地域に原因がある可能性が考えられます。
例えば、高台や住宅密集地、店舗の多い街では水圧が弱くなることがあります。
住まいが高台にあれば、水道管の埋設位置から蛇口位置がかなり高くなるため、水圧が弱まります。
住宅密集地では、時間帯によっては水道使用量が一気に増えて、十分な水量が各家庭に行き渡らない可能性があります。
また、飲食店などの店舗が多いと一般家庭より水道使用量が増えて、タイミング次第では水圧が弱くなる傾向があります。
改善するには大規模な水道管工事が必要になるため、すぐに解決とはいきませんが、気になる場合は専門業者または水道局に問い合わせてみましょう。
エコキュートの水圧が弱いと不便?
エコキュートにすることで水圧が弱くなる可能性はあります。
しかし、全ての人がストレスや不便さを感じる訳ではありません。
弱い水圧が好みで、「180kPaもあれば満足」という方や「水圧が強すぎたので逆に良くなった」という感想を持たれる方もいます。
ガス給湯器の使用が長く、高水圧のシャワーを好む人は、エコキュートの水圧では物足りなさを感じるかもしれません。
水圧を重視する方には、パワフル高圧タイプのエコキュートがおすすめです。
ガス給湯器の500kPaと比べると水圧は若干弱くなりますが、日常生活を送る上では十分の水圧があり、エコキュートの水圧で不便さを感じることはないでしょう。
エコキュートの水圧を強くする対処法
水道水と比べるとエコキュートの水圧は一般的に弱くなりますが、工夫次第で改善はできます。
以下で、具体的な対処法について解説していきます。
エコキュートをパワフル高圧タイプにする
エコキュートを検討中の方は、標準仕様のエコキュートではなくパワフル高圧タイプのエコキュートを選びましょう。
標準仕様のエコキュートは水圧200kPa。
パワフル高圧タイプになれば、水圧は約300kPaになります。
水圧が気になる場合は、パワフル高圧タイプのエコキュートが適しています。
パワフル高圧タイプは貯湯タンクの耐圧性能を強化しているので、そこまで減圧する必要がなく、標準仕様よりも強い水圧で出湯できます。
2階にキッチンやバスルームがあるご家庭でもストレスなく使えます。
ただし、パワフル高圧タイプのエコキュートは標準仕様と比べると高額になります。
導入コストを想定して機種選びをすることが大切です。
エコキュートの給湯温度を高くする
すでにエコキュートを設置し、シャワーからの水圧が弱いと感じる場合は、エコキュートの給湯温度を上げると改善することがあります。
貯湯式の給湯器であるエコキュートは、貯湯タンク内にお湯を貯めてシャワーや蛇口からお湯を供給します。
このときにエコキュートの温度を高く設定していると、温度調節のために水道水を混ぜながらお湯を供給するため、水道水の水圧が加味されて勢いが増します。
ただし、給湯温度を上げると電気代に影響が出るため、毎月の電気代が高くなる可能性があります。
また、かなり熱いお湯が出るため、小さなお子様がいるご家庭では、蛇口で温度調整をするなどの注意が必要です。
シャワーヘッドを交換する
エコキュートの水圧が気になる場合は、低水圧用シャワーヘッドに交換することもおすすめです。
低水圧用シャワーヘッドは、普通のシャワーヘッドと比べると、ヘッド部分が小さく設計されています。
ホースの先を押さえると激しく放水するのと同じ原理で、ヘッド部分の面積が小さくなると内部圧力が高まり、水の勢いが増します。
また、散水孔を小さくまたは少なく設計することで水圧を高めているシャワーヘッドもあります。
通販やホームセンターなどでさまざまな種類のシャワーヘッドが販売されています。自分のニーズに合ったシャワーヘッドを選びましょう。
フィルターの詰まり
シャワーヘッドを使い続けていると、ヘッドの目詰まりや内部フィルターに汚れが溜まり、水圧を妨げてしまうことがあります。
シャワーヘッドは常に水が流れているのできれいなイメージがありますが、水道水に含まれるカルシウムが付着したり、皮脂や石鹸がこびりついたりして、意外と汚れています。
定期的に中性洗剤でこすり洗いを行い、清潔にしておきましょう。
内部フィルターの汚れを落とすと、水圧を妨げている詰まりがなくなります。
下記の手順に従ってフィルター清掃をしてみましょう。
- カランを閉める
- シャワーヘッドの持ち手を回して開ける
- フィルターを取り出して、ブラシなどで清掃する
- フィルターの向きに注意してセットする
- カランを開けて水が出ることを確認する
清掃は、とても簡単です。
フィルターをセットするときには、逆向きにならないように注意しましょう。
止水栓を調整する
止水栓には、故障のときに水を止める役割と水の勢いを調整するふたつの役割があります。
止水栓の設置場所は多くの場合、トイレタンクやウォシュレットの下、台所や洗面台下部などの目立たない場所にあります。
止水栓は、ハンドルやマイナスドライバーで調整する仕様が一般的です。
止水栓を反時計方向に回すと少しずつ開き、水量を増やすことができます。
止水栓の開きが不十分だと水圧が低下してしまいます。
水圧が弱いと感じたら、止水栓の開き具合をチェックしてみましょう。
強い水圧によるメリット
水圧が強いことで得られるメリットには、次のようなものがあります。
洗浄能力が高い
強い水圧による最大のメリットは、高い洗浄能力です。
高圧洗浄機で汚れた壁や地面を清掃すると見違えるほどきれいになるのと同じで、強いシャワーの水圧が古い角質や毛穴に詰まった汚れ、頭皮の汚れなどをしっかりと落としてくれます。
また、石鹸やシャンプーをきれいに洗い流せるので、洗い残しによる湿疹やフケ、かゆみなどの悩みにもおすすめです。
マッサージ効果
温泉の打たせ湯のように強い水圧のシャワーを浴びると刺激が心地よく、肩や首のこりをほぐすマッサージ効果や血行を促進する効果が得られて、リフレッシュすることができます。
首の後ろに強めのシャワーを当てると肩こりや眼精疲労、ストレスまで解決すると言われています。
強い水圧によるデメリット
水圧が強いことで考えられるデメリットについて解説します。
余分な皮脂を洗い流す
強い水圧によるメリットで洗浄能力が高いと説明しましたが、強すぎる水圧で必要以上に皮脂を洗い流してしまうデメリットも考えられます。
皮脂には、肌の水分蒸発を防ぐ保湿作用や外的ダメージから肌を守る保護作用、細菌や汚れから肌を守る抗菌作用があります。
皮脂不足は、肌の乾燥を引き起こしバリア機能が弱まります。
肌のバリア機能が弱まると、肌荒れなどのトラブルを招き、外部からの刺激を受けやすくなります。
水道代が高くなる
水圧が強くなると出湯量も増えるため、毎月の水道代が高くなる可能性があります。
三菱エコキュートを例にとると、減圧弁圧力が180kPaの高圧型の場合、1階でシャワーを1分間使用すると12Lのお湯が出ます。
290kPaのハイパワー給湯を同条件で使用すると1分間に16Lのお湯が出ます。
結果、1.6倍強い水圧でお湯の量が1.3倍になりました。
引用元:https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ecocute/function/high-power.html
同じ時間、シャワーや水道を使用すると水圧の強い方が水量は多くなり、水道代の支払いが高くなります。
主要メーカーのパワフル高圧タイプエコキュート
主要メーカーの代表的なパワフル高圧タイプのエコキュートについて解説します。
どのメーカーも従来製品と比べると1.5倍以上の給湯圧力を実現しています。
エコキュートの乗り換えや水圧が弱いという理由でエコキュート導入を諦めている方はぜひ参考にしてください。
三菱電機エコキュート「ハイパワー給湯」
三菱のハイパワー給湯は、貯湯タンクからお湯を送り出すときに圧力を高める構造になっています。
安定して圧力を高めるため、減圧弁設定圧力と大口径配管や混合弁による圧力ロスを抑制する独自構造を採用しました。
工夫の結果、水圧180kPaと比べて、約4L出湯量がアップし290kPaの水圧を実現しています。
2箇所同時にお湯を使っても、シャワーの勢いが変わらず快適に使用でき、水圧の弱さを感じることはありません。
出典:【三菱】ハイパワー給湯
日立エコキュート「ナイアガラ出湯」
日立のナイアガラ給湯は、貯湯タンク内のお湯から熱を伝達して、プレート式給湯熱交換器で瞬間的に水道水を加熱してお湯にする構造です。
タンク内のお湯と水道水が混ざらない構造なので、飲用できる特徴があります。
シャワーとキッチン2箇所同時にお湯を使っても、パワフルな水圧と豊富な湯量を実現しています。
標準仕様のエコキュートと比べるとお湯の量が約1.6倍、お湯の圧力が約2.9倍になりました。
出典:【日立】ナイアガラ給湯
東芝エコキュート「パワフル給湯」
東芝のパワフル給湯は、貯湯ユニットを高耐圧仕様に強化することで、従来の高圧仕様(170kPa)と比べると約1.8倍ある300kPaの給湯圧力に向上しました。
今まで不満のあった3階でのシャワーやお湯はりも安定した水圧で快適に使用できます。
2箇所同時の出湯量が標準仕様より30%向上したことで、シャワーを使いながら、キッチンで快適に洗い物が行えます。
180Lのお湯はりも1階の浴槽なら約12分で完了、標準仕様より約3分短縮しました。
出典:【東芝】パワフル給湯
パナソニックエコキュート「パワフル高圧給湯」
パナソニックのパワフル高圧給湯は、高耐圧仕様の貯湯タンクを採用し、給湯圧力の大幅な向上と湯温を安定させることで豊富な湯量を実現しました。
従来の高圧仕様(170kPa)と比べると約1.6倍ある280kPaの給湯圧力で快適なシャワーを楽しめます。
2箇所同時にお湯を使っても安定した出湯量と温度、快適性が大幅に向上しました。
シャワー湯量が豊富なので、多機能なシャワーヘッドを取り付けるとマッサージ効果も期待できます。
ダイキンエコキュート「パワフル高圧給湯」
ダイキンのパワフル高圧給湯は、従来の高圧給湯仕様(170kPa)と比べると約1.9倍ある320kPaの給湯圧力を実現し、家族全員がたっぷりお湯を使っても安心です。
2箇所同時の出湯でもストレスフリーで、1階でも3階でも快適にシャワーが使えます。
約180Lのお湯はりは1階なら11分〜14分で完了し、お湯はり時間を格段に短縮しました。
シャワー流量は、10L/分が確保できれば快適といわれています。
ダイキンのパワフル給湯は給湯配管径20Aの場合、3階で約17L/分のシャワー流量が確保され、快適に使用できます。
まとめ
エコキュートの水圧がなぜ弱いのか、どう改善すれば水圧を強くできるのかという点について詳しく解説しました。
エコキュートは構造上、水道圧力を減圧して、お湯を供給するため水圧が弱くなってしまいます。
しかし、標準仕様でも170〜190kPaの水圧があり、そこまで不便さを感じることは少ないでしょう。
どうしても水圧の弱さが気になる方は、パワフル高圧タイプのエコキュートを選ぶことで快適に使用できます。
いますぐ、エコキュートを買い換える予定がない方は、シャワーヘッドを交換するなどの対処法をぜひ試してみてください。