2022年6月8日
【エコキュートは地震に強い?】主要なエコキュートの耐震強度を解説

エコキュートは、空気の熱を利用して電気でお湯を沸かす給湯システムです。
安い深夜電力を使うため、電気代を節約できるので人気がありますが、エコキュートの特徴はコスト面だけではありません。
タンクの満水時には重さ400kg~600㎏にもなるエコキュートは、各メーカー耐震強度アップに力をいれています。
ここでは、メーカー(三菱電機・ダイキン・日立・パナソニック・コロナ・東芝)ごとに、耐震強度が高い理由と製品ラインナップを解説します。
エコキュートの耐震強度に不安がある方は参考にしてください。
エコキュートの耐震強度が重要視されるようになった背景
エコキュートの耐震強度が重要視されるようになった背景は、平成23年3月に発生した東日本大震災です。
電気温水器を固定するためのアンカーボルトの緊結が不十分だったなどの理由から、電気温水器が転倒する被害が多く報告されました。
東日本大震災を教訓として、平成25年4月1日に施工されたのが「建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定めた告示(平成12年建設省告示第1388号)」に「第5 給湯設備の地震に対して安全上支障のない構造」の項目が追加された告示(平成24年国土交通省告示第1447号)です。
「第5 給湯設備の地震に対して安全上支障のない構造」の項目追加により、すべての給湯機に対して、設置場所や質量などに応じたアンカーボルトの種類と本数、安全上支障のないことを確認するための計算方法が定められました。
その結果、各メーカーでエコキュートの耐震強度を重要視するようになりました。
耐震強度を表す耐震クラスとは?
耐震クラスとは、耐震強度の指標となるランクのことです。
耐震クラスは、一般財団法人日本建築センターの「建築設備耐震設計・施工指針」による「局部震度法による建築設備機器の設計用標準震度」において、定められている設計用水平震度により、3つのクラスに分けられます。
耐震性能が最も高いのが耐震クラスS(病院・学校・避難所レベル)、次いで耐震クラスA(官庁施設レベル)、耐震クラスC(住宅レベル)です。
以下で解説する各メーカーのエコキュートの耐震強度についても、耐震クラスを参考にして解説していきます。
三菱エコキュートの耐震強度
三菱エコキュートは日本におけるエコキュートのシェア率トップを争うメーカーです。
お湯を長時間きれいに保つ「キレイユ」などの機能が充実していることで人気があります。
2020年には、年間給湯保温効率の高さが認められ、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する資源エネルギー庁長官賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネ大賞」を受賞した経歴もあり、注目されているメーカーです。
充実機能が備わっている三菱エコキュートの耐震強度について、以下で詳しく解説します。
幅広脚の「タフレッグ」採用で耐震クラスS対応
三菱エコキュートの耐震強度の要となるのは、脚幅85㎝のタフレッグです。
脚幅を広くして、地震の揺れを受ける面積を分散させることで、脚の本数を従来の3本から増やすことなく、耐震強度を高めました。
タフレッグに加え、360Lタイプは脚部にアンカーボルトで3本固定すること、460Lタイプは脚固定金具を併用することで耐震クラスSが実現します。
耐震強度が高い製品ラインナップ
三菱エコキュートの耐震強度が高い製品は、Pシリーズ・Sシリーズ・EXシリーズ(ZEH住宅向け)・Aシリーズの4シリーズ(一部非対応の型式あり)です。
EXシリーズ以外は寒冷地向けのタイプもあります。
プレミアムとも呼ばれるPシリーズは、EXシリーズとAシリーズにはない、ハイパワー給湯などの快適機能・清潔機能・ふろ熱回収機能・湯はり時短機能が備わっているのが特徴です。
高機能とも呼ばれるSシリーズは、快適機能の一部とふろ熱回収機能はありませんが、それ以外はPシリーズと同等の充実した機能が備わっています。
ダイキンエコキュートの耐震強度
ダイキンは、2002年に初めて家庭用エコキュートに「液ガス熱交換器」を搭載したメーカーです。
空気中の熱を集めるヒートポンプを利用するエコキュートは、気温に左右されやすい懸念点がありました。
しかし、液ガス熱交換器をエコキュートに搭載することにで、外気の温度に左右されることなくお湯を効率的に沸かせるようになり、ピートポンプを用いた湯沸かしの安定性が確立されました。
以下では、そんな現在のエコキュートの先駆者ともいえるダイキンエコキュートの耐震強度について、詳しく解説します。
耐震クラスSを最大140%超える耐震強度
ダイキンエコキュートは脚の補強だけでなく、脚とタンクを繋ぐ支持部にも補強することで、耐震クラスS基準の約110%の耐震強度を確立させました。
さらに別売りの「転倒防止金具」と脚部分を覆う「補強プレート付脚部化粧カバー」の設置で、耐震クラスS基準の約140%が実現します。
この耐震強度は震度7相当の地震にも耐えられるほどの強度となっています。
選べる耐震強度の高い製品ラインナップ
耐震クラスS基準の約140%の耐震強度がある製品は、角型370Lのモデルです。
角型370Lモデルのなかでも耐震クラスSに満たない製品もありますが、基礎アンカーボルトや転倒防止金具の設置で、耐震クラスSに引き上げることもできます。
角型460Lモデルの耐震強度は耐震クラスA、薄型370Lモデル及び薄型460Lモデルは耐震クラスBです。
同じモデルでも、別売りの部品を取り付けることで、求める耐震強度に自分でカスタマイズできるのがダイキンのエコキュートの特徴と言えます。
また、タンク本体と貯湯ユニット内の配管に高品質なステンレスが使用されているため、全機種耐(重)塩害仕様になっていたりと、高い耐久性もダイキンエコキュートの魅力です。
日立エコキュートの耐震強度
日立エコキュートは日立独自の水道直圧給湯で、浴室やキッチンなど2か所で同時にお湯を出しても、水圧が弱まることなく使えるのが最大の特徴です。
ほかにも、お湯を長時間きれいに保つ「きらりUVクリーン」や心地よい入浴を楽しめる「シルキー快泡浴」など、こだわりの機能が多くあります。
そんな利便性と快適さを兼ね備えた日立エコキュートの耐震強度を、以下で詳しく解説します。
「ウレタンク」採用で耐震クラスS対応
日立エコキュートは、業界初のウレタン発泡が使用された「ウレタンク」の採用で、耐震クラスSを実現しています。
高断熱なウレタンフォームをタンク内の脚及び、脚受け含め装備させることで、剛性を高くし、大きな揺れでもエコキュートが変形しなくなっています。
また「ウレタンク」は断熱性も高いため、お湯を冷めにくくする効果もあります。
2022年1月の時点では、省エネ性能ナンバーワンの実績をあげました。
脚の数や形状で耐震強化しているメーカーが多いなか、断熱性も得られるウレタンフォームを使って耐震強化しているのは日立エコキュートだけです。
耐震強度のあるが高い製品ラインナップ
耐震クラスSの製品は、フルオート(370Lと460L)の標準タンクと給湯専用(370Lと460L)のすべてのモデルです。
フルオートの標準タンク560Lは耐震クラスA、フルオートの薄型タンク(370Lと460L)は耐震クラスBです。
耐震クラスSのフルオートタイプには、硬度水道水と井戸水にも対応した「ナイアガラタフネス」という機種もあります。
水中のカルシウムなどの堆積物による配管詰まりに強く、エコキュート自体の耐久性が高いため、都市部以外の地域で人気の機種となっています。
パナソニックエコキュートの耐震強度
パナソニックエコキュートは、国内累積販売数が200万台を突破するなど、三菱と並びエコキュートのシェア率トップを争うメーカーです。
2020年には一般財団法人省エネルギーセンターが主催の省エネルギーセンター会長賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネ大賞」を受賞しました。
売上と性能に実績のあるパナソニックエコキュートの耐震強度を、以下で詳しく解説します。
ワイド一体構造の4本脚で耐震クラスS対応
パナソニックエコキュートは、一般的な3本脚ではなく4本脚にすることで、耐震強度を高めています。
脚の本数を増やしたことに加え、素材に高耐食溶融めっき鋼板を使用して耐食性を高め、さらに地震の揺れを分散できる一体構造脚の採用で、耐震クラスSを実現しました。
耐震強度が高い製品ラインナップ
パナソニックエコキュートの耐震クラスS対応の製品は、2013年6月以降に発売された角型モデル(JP・N・J・NS・FP・F・Lシリーズ)の370L・300L(3本脚)タイプ・薄型モデル(W・Hシリーズ)の370Lタイプです。
460Lタイプは耐震クラスAになります。
シリーズにより、パワフル高圧フルオート・フルオート・セミオート・給湯専用・耐塩害など様々な仕様に分かれています。
さらに、仕様ごとにミドルクラス・スタンダードクラス・プレミアムクラスと機能面でも細かくクラス分けされており、非常に多くの種類の中から自分にあった製品を選べるようになっています。
コロナエコキュートの耐震強度
2001年4月、世界で初めて家庭用エコキュートを販売開始したのがコロナです。
コロナエコキュートは、貯水タンクの水やお湯を7つの温度で管理するなど、効率の良さに力を入れています。
また、2022年6月には、機能性だけでなくデザイン性にもこだわった新商品が販売される予定となっています。
他のメーカーにはない新たな視点で進化し続けるコロナエコキュートの耐震強度について、以下で詳しく解説します。
独自に設計された脚で耐震クラスS対応
コロナエコキュートは、独自設計の逆T字型の脚で耐震クラスSを実現しています。
見た目のスマートさとは裏腹に、床との接地面積が広いため安定性があり、地震に強い仕様となっています。
つまり、3本脚なので設置しやすさは変わらず、一方で耐震性はより高くなりました。
耐震強度が高い製品ラインナップ
コロナエコキュートは370Lタイプすべてが耐震クラスS、460Lタイプすべてが耐震クラスAに対応しています。
製品ラインナップも数多く、一般地向けのフルオートだけでも7種類あり、高圧力パワフル給湯や省エネ保温、節水モード(ふろ)など、タイプによって備わっている機能はさまざまです。
さらに、フルオート以外にもセミオートと給湯専用もあります。
東芝エコキュートの耐震強度
東芝エコキュートは、業界唯一の銀イオン発生ユニットを搭載することにより、細菌の増殖を抑えた綺麗な給湯を実現しています。
銀イオインにより除菌・防臭効果が得られるので、毎日清潔なお湯に浸かれるようになりました。
また、保証期間が5年と長く設定されているので、万が一の故障でも長期間対応できます。
以下では、そんな信頼と実績のある東芝エコキュートの耐震強度を解説します。
つなぎ目のない一体構造の脚で耐震クラスS対応
東芝エコキュートのこだわりは、脚につなぎ目がないことです。
一体構造の脚にしたことで、脚本体の強度が上がり耐震強度が高くなりました。
また、脚と脚の間隔を広く配置し、強い揺れでも3本の脚でしっかりとタンクを支えます。
一体構造の脚と配置の工夫により、耐震クラスSを実現しました。
耐震強度が高い製品ラインナップ
耐震強度が高い製品は、ハイグレードモデル・スタンダードモデル・ベーシックモデル・給湯専用モデルです。
上記4つのモデルのうち、370Lは耐震クラスS、460Lは耐震クラスAに対応しています。
ハイグレードモデルは、ほかのモデルにはない、銀イオン発生ユニットの搭載や節水湯はり機能が備わっているのが特徴です。
またハイグレードモデルとベーシックモデルには、寒冷地向けもあるので設置する地域を選びません。
耐震強度だけでなくエコキュートの防災対策
エコキュートの防災対策は、耐震強度だけではありません。
災害などの断水時にも、貯水タンクに貯めてある水(お湯)をいつでも使えます。
断水以外に電気やガスが使えない状況でも、生活用水(飲料水不可)としてお湯を使えるので、寒い時期の災害でも安心と言えます。
仮に460Lタイプの貯水タンクが満杯だったとしたら、4人家族で使用しても3日程度は生活用水として利用できます。
さらに、停電前の時刻や湧き上げ時間の設定が記憶されている製品も多いので、電気復旧後に設定を一から行う必要もありません。
また、火を使わないエコキュートは、地震が原因で発生する家事などの二次災害も避けられます。
思わぬ被害を受けないためにも、エコで安全なエコキュートで防災しましょう。
まとめ
平成25年4月1日に施工された平成24年国土交通省告示第1447号により、エコキュートの耐震強度は底上げされました。
さらに貯水タンクの脚の本数や幅、形状などメーカー独自の工夫により、耐震クラスSを誇る製品も多くあります。
最低限の耐震強度はどの製品も守られているので、どれくらいの耐震強度や機能を求めるのかよく検討し、自分に合ったエコキュートを購入しましょう。