2022年6月28日
エコキュートをおすすめしない理由とは?知っておきたい失敗例と選び方

深夜の安い電気を使い、お得にお湯を沸かすエコキュート。
家計にも環境にも優しく、年々出荷台数を伸ばし、多くの方に支持されています。
しかし、ネットを検索すると「エコキュートをおすすめしない」口コミがチラホラ散見されます。
そういった口コミの内容を読んでみると、現在のエコキュートの性能を正確に理解できていないことと、自らのライフスタイルに合ったエコキュートを選べていないという理由が多いようです。
本記事では、エコキュートをおすすめしない理由・おすすめする理由を述べ、エコキュートについて正しく理解をしていただいたうえで、購入前に知っておきたい失敗しない選び方も解説します。
エコキュートの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
1.エコキュートをおすすめしない理由とは?
まず、「エコキュートをおすすめしない」口コミの理由を解説します。
1-1.エコキュート本体代(初期費用)が高い
エコキュートをおすすめしない理由として「エコキュート本体代が高い」ことが挙げられます。
確かに、エコキュートはガス給湯器と比べ、初期費用は高いです。
容量や機能にもよりますが、大体の相場としては以下の通りです。※工事費込み
・エコキュート 35万円~60万円
・ガス給湯器 6万円~20万円
エコキュートの相場にも差はあり、最新機能が搭載されたものは60万円近くしますが、スタンダードのタイプだと40万円~45万円で交換できる場合が多くあります。
ガス給湯器と比べて初期費用は数十万円の差がありますが、エコキュートの売りは「ランニングコスト(毎月の光熱費)の安さ」です。
そのため、エコキュートを使えばガス給湯器の3分の1ほどに光熱費を抑えられます。
<エコキュートとガス給湯器を使った場合の平均光熱費の比較>
1年間 | 10年間 | |
エコキュートでの
給湯費用 |
平均24,000円 | 240,000円 |
ガス給湯器での
給湯費用(都市ガス利用) |
平均78,000円 | 780,000円 |
差額 | 56,000円 | 560,000円 |
※パナソニック公式サイトにおける試算より
※一般家庭での使用量(エコキュートの容量:370l)を想定
エコキュート、給湯器ともに寿命は10年程度であるため、10年間の給湯費用で比較すると、エコキュートの方が約560,000円も安く抑えられていることが分かります。
トータルの給湯費用で考えた場合、節約できる金額は当初の初期費用の差よりも大きく、長期的に見るとエコキュートの方が圧倒的に経済的だと言えます。
1-2.お湯切れを起こすリスクがある
エコキュートをおすすめしない理由として「お湯切れリスク」があります。
ガス給湯器は使うたびにお湯を沸かす瞬間式でありますが、エコキュートは深夜に沸かしたお湯をタンクに貯めて使います。
そのため、タンク内のお湯を使い切ってしまった場合お湯切れが発生します。
ただ、近年のエコキュートでは「湯切れ防止」機能が搭載されており、一定の量よりお湯が少なくなった場合は昼間でもお湯を沸かせます。
しかし、昼間の電気料金は高いため昼間に何度も沸き上げすると給湯費用がかかり注意が必要です。
お湯切れを起こさないためには、エコキュートを購入する際に家族人数や使用量に見合った容量の機種を選ぶことが大切です。
1-3.電気の使用時間によっては電気代が高くなることも
エコキュートをおすすめしない理由として「思ったより電気代が安くならない」という声もあります。
エコキュートは深夜の安い電力を使うため、オール電化用の料金プランを利用することになります。
ただ、オール電化用の料金プランだと昼間の電気料金が高くなるため、その他の電力使用状況によってはトータルの電気代が上がる場合もあるのです。
電力会社にもよりますが、オール電化用料金プランでは午前10時~午後5時は電気料金が高いことが多いです。
その時間に在宅し電気をよく使う場合は、電気代が高くなる可能性があります。
しかし、給湯費用は大幅に削減されるため、トータルの光熱費で見るとお得になるケースが多いと言えます。
1-4.水圧が弱い
エコキュートをおすすめしない理由として「水圧の弱さ」を挙げる方もいます。
ガス給湯器は直圧式給湯器であるため、バーナーなどで加熱したあと水道の水圧そのままでお湯を使えます。
一方で、エコキュートは貯湯式給湯器であり一度タンクに貯めたお湯を使います。
その際、水圧を減圧しているため、水道の水圧よりは弱くなります。
しかし、現在ではエコキュートの水圧も改善され、一般的なタイプでも一定の水圧以上を保っています。
また、機種によっては高圧のものもあるため、水圧が気になる方は高圧のタイプを選ぶとよいでしょう。
1-5.騒音が気になる
「エコキュートは騒音がするからおすすめしない」という口コミも以前は見られました。
エコキュートで音が生じるのは、ヒートポンプユニットが稼動する深夜であり、昼間だと気にならない音も、深夜だと気になる方もいらっしゃったようです。
特に10年以上前のエコキュートだと、50db~60dbの音を発生させていたものもありました。
しかし、今では各機種とも静音設計で40db程度の音であるため、それほど気にならなくなったと言えます。
ただ、騒音はご近所問題にも発生するため、可能であれば隣の家(特に寝室)と距離を置いた場所に設置するなど、なにかしらの配慮をしたほうが無難です。
(参考)騒音の目安
40db | ・図書館
・静かな住宅地 ・深夜の市内 |
50db | ・静かな事務所
・エアコンの室外機 |
60db | ・普通の会話
・40hm/hで走行する自動車の内部 |
2.エコキュートをおすすめする理由とは?デメリットを超えるメリットあり
エコキュートをおすすめしない理由をお伝えしました。
しかし、エコキュートにはデメリットを超えるメリットがあり、多くの人に支持されています。
以下、エコキュートをおすすめする理由を解説します。
2-1.給湯コストは圧倒的に安い
エコキュートのメリットとして「ガス給湯器より給湯費用が圧倒的に安いこと」が挙げられます。
エコキュートは空気中の熱を利用し「1」の熱エネルギーから「3」以上の電気エネルギーを生み出すことができる、効率的な給湯器です。
そのため、エコキュートはガス給湯器の給湯費用を3分の1に抑えることができます。
また、オール電化用の電気料金プランは、夜の電気料金が安く設定されています。
エコキュート以外にも夜の安い電気を使って家事を進めれば、光熱費もさらに抑えられることでしょう。
2-2.太陽光発電との相性がよい
「太陽光発電とエコキュートの相性がよさ」もメリットの一つです。
エコキュートを利用する場合、よく使われるオール電化用の料金プランは、深夜は安いものの昼間の電気料金は高くなります。
一方で、太陽光発電は昼間に発電をするため、昼間は太陽光発電の電気を使いましょう。
また、深夜の安い電気を用いて、深夜にエコキュートでお湯を作ればかなり経済的です。
もしもの災害時も、太陽光発電さえあればエコキュートが稼動できるため、安心となります。
2-3.火災やガス中毒リスクが減り安心
ガス給湯器と異なり、エコキュートは火を使わず空気の熱を利用し給湯します。
そのため「火災のリスクがない」のも安心です。
また、ガス機器を使用している方が不安になるガス漏れなどのリスクも減ります。
さらに、火災保険によってはオール電化住宅の方が保険料が安くなるケースもあるので、見直してみることをおすすめします。
2-4.災害時もタンク内のお湯が使える
地震などの災害時に停電や断水した際も、エコキュートは安心です。
ガス給湯器は、使うときにお湯を沸かす瞬間式であるため、タンクにお湯は貯まっておらず、スイッチも電気で動くため災害時は使えません。
一方、エコキュートは貯湯タンクの中に深夜に沸かしたお湯があるため、停電や断水の場合も貯湯タンク内のお湯は使うことができます。
ただし、災害時は温度設定ができないため、使用する場合は注意しましょう。
2-5.補助金が出る自治体も
エコキュートは環境にもやさしい給湯器であるため、自治体から補助金が出る場合があります。
自治体によりますが、補助金は1万円~10万円のところが多いようです。
なお、以前は国からも補助金が出ていたのですが、エコキュートの本体費用も以前より高価でなくなったことから、現在は中止しているようです。
3.エコキュート購入での失敗例と選び方のポイント
続いてはエコキュート購入時の失敗例と、そこから学ぶ選び方のポイントを解説します。
失敗例1:容量が足りず、お湯切れしてしまう
エコキュートの失敗例として、エコキュートの容量が足りずお湯切れしてしまうことが挙げられます。
湯切れ防止の機能がついていても、昼間の高い電気料金を使って沸かすことになるため、可能な限りお湯切れは避けたいものです。
選び方のポイント:現在および近い将来の給湯量に見合った容量を
お湯切れを防ぐためには、自らの家族の人数やお湯の使用量に合った容量のエコキュートを購入することです。
エコキュートの容量の目安は以下の通りです。
2~4人家族 | 300l |
3~5人家族 | 370l |
4~8人家族 | 460l・550l |
購入するときに注意したいのは、今後家族が増える可能性や使用量が増える予定はないかということ。
例えば、購入時は夫婦2人でも、子どもが増えて使用量が増えるケースも少なくありません。
ライフスタイルの変化も想定して、容量を決定しましょう。
失敗例2:電気料金が安くならない
エコキュートの失敗例として、電気料金が安くならないという声も挙げられます。
主な原因は、以下の通りです。
・昼間に電気をよく使う(オール電化用料金プランは、昼間の電気料金が高い)
・お湯切れし、昼間にお湯を沸かしている
選び方のポイント:生活プランと電気使用状況を確認して購入の検討を
オール電化用の料金プランは、深夜は安く昼間は高い設定になっています。
そのため、昼間に在宅していることが多く、電気使用が昼間にも発生する場合は、エコキュートの導入を検討し直すことも必要かもしれません。
ただ、昼間の使用量が多くても給湯費用が安く抑えられることから、トータルで見るとエコキュートにした方が安いこともあります。
まずは、電力会社もしくはメーカーの光熱費シミュレーションを試してみましょう。
・夜の安い電気をなるべく使うよう意識する
(洗濯物の乾燥機や食洗器の稼動を夜にするなど) ・昼間にお湯切れを起こさないよう、購入時に容量は確認しておく ・可能であれば太陽光発電を導入する |
上記の点に留意すると、コストメリットがさらに出やすくなります。
失敗例3:あとから別の機能がほしくなった
エコキュートの失敗例として、購入後に便利な機能を知り、その機能が搭載された機種を購入すればよかったと思うことが挙げられます。
機能がシンプルであるほど値段は安くなりますが、便利な機能がついていないケースもあります。
選び方のポイント:エコキュートの機能はあらかじめ調べておく
選ぶ際は、エコキュートの機能について調べたうえで、自分の家庭にはどの機能が必要・不要かを料金と合わせて考えることが大切です。
エコキュートの便利機能の例として、以下が挙げられます。
・高水圧タイプ
・省エネモードや最適な沸き上げモードなど給湯に関する機能 ・お風呂の排水管洗浄機能 ・警報・注意報発令時の自動沸き上げ機能 ・沸き上げを休止設定する機能 ・子どもやお年寄りなどを安心して見守る機能 ・太陽光発電との連携機能 など |
他にも様々な機能がありますので、エコキュート導入時は各メーカーの機能を確認しましょう。
4.エコキュートがおすすめな家庭とは
エコキュートがおすすめなのは、以下のようなご家庭です。
・昼間の電気使用量が少ないご家庭
・給湯量が多いご家庭 ・太陽光発電を搭載しているご家庭 ・火災リスクが少ない方が安心だと感じるご家庭 ・災害時にも最低限の生活用水を確保しておきたいご家庭 |
特に昼間の電気使用量が少なく給湯量が多いご家庭は、エコキュートを導入すると光熱費を抑えられる可能性が高いです。
昼間に在宅して電気を使われるご家庭も、まずは光熱費シミュレーションをしてみて、どれだけコストメリットが出るか確認してみることをオススメします。
5.エコキュート累計台数700万台突破!導入家庭は年々増加
エコキュートは2001年に初めて商品化されて以来、年々出荷台数を伸ばしています。
2020年6月末には、累計出荷台数が700万台を突破しました。
ここまで導入数が増えているのは、エコキュートのメリットが多くのご家庭で実感され、支持されていることの表れです。
便利な機能だけでなく優れた環境性が認められているため、今後もエコキュート導入家庭は右肩上がりに増えていくでしょう。
6.まとめ:エコキュートはデメリットよりメリットが大きい
以上、エコキュートをおすすめしない理由とおすすめする理由について解説しました。
おすすする理由 | おすすめしない理由 |
・給湯コストが圧倒的に安い
・太陽光発電との相性が良い ・火災やガス中毒のリスクが少ない ・災害時もタンク内のお湯を利用できる ・補助金が出る自治体もある |
・エコキュート本体費用が高い
・お湯切れを起こすリスクがある ・場合により電気料金が高くなることも ・水圧が弱い ・騒音が気になる人もいる |
おすすめしないという口コミもありますが、エコキュートの性能を理解しご家庭に合ったエコキュートを導入すれば、光熱費も抑えられ満足度も高くなります。
気になる方は、まずは光熱費シミュレーションから始めてみてはいかがでしょうか。