2022年11月7日
オール電化の工事内容や費用相場を知りたい方必見!導入前の注意点も解説

毎日の生活のエネルギーをすべて電力でまかなう「オール電化住宅」は、近年大きく広がりをみせています。
ガスや灯油を使用している生活からオール電化にリフォームする場合、工事費用はどのくらいかかるのか、日常はどのように変化するのかなど、気になることは多々あるでしょう。
オール電化にリフォームをする場合、まずはオール電化に必要な設備を購入し、その後に取り付けるための工事を行うのが一般的です。
今回は、オール電化にリフォームする際の工事内容や費用の相場、注意点を解説します。
オール電化の設備
オール電化住宅で使用する設備は、主に「エコキュート・電気温水器」と「IHクッキングヒーター」です。
それぞれの特徴を簡単にみていきましょう。
エコキュート・電気温水器(給湯器)
電気を使ってお湯を沸かす給湯器には、エコキュートと電気温水器の2つがあります。
これらはどちらも、電気の力を使って貯水タンクに貯めた水を沸かします。
エコキュートは、お湯を沸かす際に空気の熱を利用するヒートポンプの技術を採用した給湯器です。
空気中の熱を吸収し、それを圧縮してお湯を沸かすシステムのため、電気の使用量を削減できるメリットがあります。
熱を集めるエネルギーの効率が非常に良く、電気温水器と比べるとおよそ1/3ほどの電気代でお湯を沸かせます。
また、非常時に給湯器内に貯めておいた水を使用できるため、節電目的以外に防災の観点からも注目されている設備の一つです。
電気温水器は、電気の力でお湯を沸かす給湯器です。エコキュートと比べると、エネルギー効率は少し低くなっています。
エコキュートの電気温水器の違いを下記にまとめました。
【エコキュート】
- 仕組み:空気中の熱と電気を使用し、ヒートポンプ技術を使ってお湯を沸かす
- 設置場所:貯水タンクに加えヒートポンプを設置するため、ある程度のスペースが必要
- 設置費用:電気温水器よりも高額になる傾向がある
- 電気代:電気温水器よりも消費電力が少なく、安くなる傾向がある
【電気温水器】
- 仕組み:貯水タンクの中のヒーターでお湯を沸かす
- 設置場所:貯水タンクのスペースがあれば良い
- 設置費用:エコキュートよりも安くなる傾向がある
- 電気代:熱源が電気のみであるため、電気代は高くなる傾向がある
これまでのオール電化住宅では電気温水器がよく用いられていましたが、近年はエネルギー効率の良いエコキュートが主流になっています。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、ガスコンロと異なり、火を使わずに電磁波を使用して加熱を行う調理器具です。
熱源が電気で、ガスコンロのように凸凹がなくフラットな形になっているのが特徴です。鍋やフライパンを乗せる五徳に関係なく手入れができます。
熱伝導率が高く、エネルギーの消費にも無駄がないといわれています。
火を使わなくて済むことから、安全性の高さも人気の設備です。
火力もガスと比べてほとんど変わらない、もしくはIHの方が強い場合もあるほどです。
オール電化にリフォームする工事の内容
エコキュートやIHクッキングヒーターを設置する場合は、専用の工事が必要です。
単相3線式切替工事
IHクッキングヒーターやエコキュートは200Vの電圧で使用するため、200Vが使用できる単相3線式設備を設置しなければいけません。
すでに設備が備え付けられていればそのまま使用できます。
しかし、使用する容量に適切でなければ、幹線を太くしたり、分電盤を改修したりといった追加工事が必要な場合があります。
エコキュートの工事内容
【準備】設置場所の確保
まずは貯水タンクやヒートポンプを設置するスペースを確保します。エコキュートは機器本体が大きく、ある程度のスペースを確保する必要があります。
また、スペースだけがあれば良いわけでなく、機械が夜に作動することを踏まえ、寝室のそばへの設置は避けた方が良いでしょう。
基礎工事
次に、貯水タンクやヒートポンプを取り付けるための基礎工事をします。
基礎工事には、コンクリートを流し込む「現場打ち(土間打ち)」と、コンクリート製のベースを使用する「エコベース」の2つのパターンがあります。
現場打ちはしっかりとした土台を作れる一方、時間と費用がかかるといった難点もあります。
とはいえ、やはり地盤は強くしておくに越したことはありません。
工事にかかる日数や費用が異なるため、ご家庭に合った工事を選ぶことが大切ですが、時間や費用が許す場合は現場打ちがおすすめです。
設置工事
土台が完成したら、土台に本体を設置していきます。
まず、浴室の壁に配管用の穴を開けたのち、浴槽にアダプターを取り付けます。その後に、貯水タンクを設置し、土台の上に固定します。
その後に配管や電気工事を行うのが一般的で、最後にヒートポンプを取り付けます。
ヒートポンプは、倒れることのないようしっかりと固定し、貯水タンクとつなぎます。
電気工事
エコキュートは200Vの電源が必要であるため、電気工事が必要となることがあります。
エコキュートのブレーカーは、分電盤に空きがある場合はそこから、電源を取れない場合はメーターから直接電源を取るほか、分電盤を増設する方法があります。
200V電源を使用する電化製品は意外と多く、今ではほとんどの家庭で200Vの電源が使えるようになっています。
もし、古い家などで200Vの電源が通っていない場合は、分電盤の交換や配線の張り替えなどの工事が必要です。
配管工事
エコキュートのお湯を使えるようにするためには、家の中にお湯を送る給水配管のほか、追い焚き機能が付いている場合は追い焚き用の配管も必要です。
また、ヒートポンプから出る排水を汚水に流すドレン排水配管工事もあります。
- 給水配管工事
エコキュートを使えるようにする基本的な工事です。これまで給湯器や電気温水器を使っていた場合は、配管をそのまま利用できます。
ただし、設置場所を変更する場合には、新たに工事が必要です。
- 追い焚き配管工事
追い焚き機能付きのエコキュートを取り付ける場合に必要な工事です。
こちらもこれまで使っていた配管を利用できますが、汚れていることも多いため、設置と同時に新しいものと交換することをおすすめします。
- ドレン排水配管工事
ヒートポンプや貯水タンクから出る排水を排水口に流すための工事です。
配管工事は、いずれも配管が長くなるほど費用が高くなる傾向にあります。
IHクッキングヒーターの工事内容
撤去工事
ガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォームする場合、ガス会社にガス栓を止めてもらい、ガスコンロを撤去する必要があります。
ガスコンロを撤去し油汚れなどをしっかりと除去したのち、IHクッキングヒーターを取り付けていきます。
設置工事
撤去工事が完了したのちに、IHクッキングヒーターを設置していきます。
電気工事
新しくIHクッキングヒーターを設置する場合には、ブレーカーから電源を引き込む電気工事が必要です。
エコキュートと同じように、分電盤から電源が取れない場合は新しく分電盤を増設する工事を行います。
オール電化にリフォーム工事する際の費用相場
オール電化にリフォームする場合の工事で最もよく行われているのは、エコキュート・IH クッキングヒーターを取り付ける工事です。
IH クッキングヒーターとエコキュートを設置する際にかかる費用は、機器本体と設置費用をあわせて60〜100万円程度です。
そのほか、床暖房や浴室暖房などもあわせてリフォームする場合は、さらに費用がかかります。太陽光発電や蓄電池などをセットで導入する場合も同様です。
また、オール電化にするのがマンションか中古住宅かでも、費用相場は異なります。
中古住宅の場合は設置する設備の幅が広くなり、設置費用や工事費用が大きく変わるためです。
設備+リフォーム工事の費用相場
オール電化にリフォームする際にかかる費用の相場をみていきましょう。
ガス給湯器→エコキュートにする場合
エコキュートにリフォームする場合の費用相場は35〜60万円程度です。
エコキュートは使用する人数によって必要な容量が変わりますが、最も大容量のものであっても、60万円以内に収まることがほとんどです。
ガスからエコキュートにリフォームする場合には、基礎工事のほか、電気の配線やブレーカーを接続する電気工事、エコキュート本体に水を通すための配管工事などが必要です。
そのほか、場合によっては追加工事が必要となることもあります。
また、機器本体の価格はメーカーや性能・容量によって変わってきます。
エコキュートの価格相場や安く導入する方法を下記の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
オール電化住宅で使える給湯器の価格相場は?エコキュートと電気給湯器を比較
ガスコンロ→IHクッキングヒーターにする場合
ガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォームする場合の費用相場は10〜40万円程度です。
IH クッキングヒーターは、調理台に埋め込む「ビルトインタイプ」と、置くだけの「据え置きタイプ」があります。
どちらのタイプも本体価格・工事費用ともに大きく差はありません。
ガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォームする場合は、熱源がガスから電気に変わるため、ガス管を撤去したり、新たに電気の配線作業をしたりという工事が必要です。
工事費用は、現在の配線の状態によって変動します。
太陽光発電や蓄電池の導入も同時に行う場合
近年では、オール電化工事とあわせて、太陽光発電や蓄電池の導入を検討するご家庭も増えてきています。
これらの同時導入を検討する場合には、上記の費用相場に200〜400万程度の費用が追加でかかると考えておきましょう。
オール電化にリフォームする際の注意点
オール電化へのリフォームを検討する際の注意点は、下記のとおりです。
光熱費の注意点
まずは、今契約している電気料金のプランを確認しましょう。
電力会社によっては、電気代が今以上にお得になるオール電化向けのプランが用意されている場合があります。
とはいえ、ガス代の方が圧倒的に安いといった場合には、必ずしもオール電化が得になるとは限りません。
事前に光熱費のシミュレーションをしておくことが大切です。
エコキュートの注意点
設置場所を事前に確保しておく必要があります。
エコキュートはタンクの高さが2mを超えるものもあるため、設置の際には十分なスペースを確保しましょう。
また、エコキュートは外気を取り込んで水温を上げ、お湯を沸かす仕組みになっています。
外気温が高い場所に設置できれば早くお湯を沸かせる反面、外気温が低い場所に設置した場合は、お湯が沸くまでに時間がかかり、電気代が高くなることもあり得ます。
IHクッキングヒーターの注意点
IHクッキングヒーターを設置する場合は、200Vの電源が必要です。
100Vの電線が分電盤に複数届いていれば電圧の変更工事ができますが、もしない場合には、配線工事の費用が追加で発生します。
また、IHクッキングヒーターの場合、専用の調理器具を揃えなければ使用できません。
今までガスコンロを使っていたご家庭は、フライパンやお鍋などの調理器具をすべて買い換える必要があります。
また、IHははじめのうちは使い方に慣れず、「使いにくい」と感じてしまう方もいらっしゃいます。使い方に慣れる必要がある点も注意が必要です。
まとめ
オール電化にリフォームする際の工事内容や費用相場について解説しました。
オール電化にするメリットが多数あるのも事実ですが、それが全員に当てはまるかは分かりません。
同じ現場は2つとないため、各々のライフスタイルや電気の使用頻度によってランニングコストは大きく変わってきます。
また、オール電化にすると、ガスを使用していた時とは使い勝手も変わります。
光熱費のシミュレーションを事前にしっかりと行い、設備の特徴を確認しておくことが大切です。
オール電化へのリフォームをご検討の方、オール電化工事についてご不明な点がある方やより詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。