2022年12月21日
オール電化住宅にリフォームするメリット・デメリットと事前準備

家庭内の熱源をすべて電気でまかなう「オール電化住宅」は、光熱費が節約できたり、火災のリスクが減ったりとさまざまなメリットがあります。
ガスや灯油を併用している住宅からオール電化住宅にリフォームするご家庭も増えており、地域により差はありますが、今では約10件に1件がオール電化住宅であるといわれているほどです。
この記事では、オール電化住宅にリフォームするメリット・デメリット、リフォームする際の事前準備についてまとめています。オール電化住宅へのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
オール電化住宅とは
オール電化住宅とは、調理や空調・給湯などといった熱源をすべて電気でまかなう住宅のことをいいます。
オール電化でないご家庭では、お風呂やキッチンでは電気とあわせてガスを使用するのが一般的です。一方、オール電化住宅では、ガスや灯油などを使わないため、電気以外に光熱費がかからなくなるといったメリットがあります。
ただし、ガスを使わないため、ガスコンロやガス給湯器に変わる設備を一式買い揃えなければいけません。
近年、オール電化住宅にリフォームするご家庭は増えており、新築でオール電化住宅を建てる以外に、マンションや中古住宅をリフォームするご家庭も増えています。
オール電化住宅で使用する主な設備
ここからは、オール電化住宅で使用する主な設備を3つ紹介します。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、ガスではなく電磁波を使って熱を発生させ、調理する器具です。
ガスを使わず火が出ないため、火災リスクが低い点が特長です。お子様やご高齢の方がいるご家庭でも安心して使うことができます。
また、ガスコンロのように五徳がなく、平らな設計で掃除や手入れをしやすいこともポイントです。
IHクッキングヒーターが出たばかりの頃は、「ガスよりも火力が弱い」といわれることもありましたが、ガスコンロよりも熱伝導率は高いといわれています。
そのため、光熱費を削減できる可能性が高く、エネルギー効率の面でも注目されているのです。
ガスコンロとIHクッキングヒーターの比較について、こちらの記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
【オール電化】ガスコンロとIHどっちがいい?メリット・デメリット、料金を徹底比較!
エコキュート・電気温水器
貯蔵用のタンクを用意し、くみ上げた水を電気の力で沸かすのがエコキュートや電気温水器です。
エコキュートはヒートポンプ技術を使って、電気温水器は電気ヒーターを利用してお湯を沸かします。
現在では、オール電化住宅にはエコキュートを導入することが一般的です。エコキュートは貯湯式の給湯器で、電気温水器よりも少ない電力量で効率的にお湯を沸かすことができるためです。
非常時はタンク内に貯めたお湯や水を使うこともでき、非常用の生活用水としても役立てられます。
エコキュートの設置価格については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
オール電化住宅のエコキュート設置価格はいくら?工事費込みの値段や内訳を紹介
床暖房
オール電化住宅の場合は、エコキュートのお湯を利用する「温水式電気床暖房」との相性が良いといわれています。温水式の他には、電気ヒーター式やPTCヒーター式のものがあります。
床暖房をガスで利用しているご家庭は、リフォームの際に床暖房も入れ替えなければいけません。
床暖房はオール電化住宅に必須の設備ではないものの、近年、リフォームする際に導入するご家庭も増えています。
オール電化住宅にリフォームするメリット
オール電化住宅にリフォームすると、主に下記のようなメリットが得られます。
- 光熱費を削減できる可能性がある
- 光熱費の管理がしやすい
- 火災リスクを減らせる
- 災害時の復旧が早いことが多い
- 太陽光発電との相性が良い
- 火災保険が割引になることがある
それぞれ詳しくみていきましょう。
光熱費を削減できる可能性がある
ガスと電気を併用するご家庭では、ガスと電気それぞれ使用した分の料金にプラスして、基本料金がかかります。
オール電化住宅にすれば、電気代だけになるため、ガスの基本料金はかかりません。
電気代は、需要の少ない夜間の時間帯に安くなるといった特徴があります。この特徴をうまく利用してお湯を沸かしたり貯めたりできるのが、オール電化のメリットです。
電気代が高い時間帯であっても、安い時間帯に沸かしたお湯を使うことができるため、電気代の節約につながります。
しかし、電気を使用する時間帯は各家庭によって異なります。もし昼間に電気をたくさん使うご家庭の場合は電気代が高くなる可能性もあるため、注意が必要です。
光熱費の管理がしやすい
オール電化住宅にすると、光熱費が電気に一本化されるため、管理がしやすくなります。ガスや灯油などと併用していて、光熱費の管理が面倒に感じている方もいるのではないでしょうか。
オール電化にして光熱費を一本化すれば、電気代の高い・安いだけを管理すれば良くなり、高くなった理由も把握しやすく、節約にもつなげやすくなります。
火災リスクを減らせる
オール電化住宅にリフォームすると、家の中で火を使う機会が少なくなり、火災リスクを減らせます。それだけでなく、ガスを使用しないため、ガス漏れや一酸化中毒などのリスクもなくなります。
お子様やご高齢の方がいるご家庭にとって、火を使わないことは、安全面でもメリットとなるでしょう。最近では、自身の老後のことを考えて、オール電化住宅にリフォームされる方も多くいらっしゃいます。
災害時の復旧が早いことが多い
日本は地震や台風などの災害が多く、ライフラインがストップしてしまうことも少なくありません。また、一度ストップしてしまうと、復旧するのに一定の時間を要することがあり得ます。
ライフラインの中で、最も復旧が早いのは電気だといわれています。オール電化住宅は、電気が復旧すれば家の中のほとんどの設備が使えるようになります。
太陽光発電との相性が良い
オール電化住宅にすると同時に太陽光発電システムを導入すると、電気代が高い昼間の時間帯に、太陽光で電気の自家発電を行うことができます。
太陽光発電は導入に一定の費用がかかりますが、余った電力は売電することもできるため、長い目で見れば黒字化できるケースも多くあります。
火災保険が割引になることがある
保険会社によりますが、オール電化住宅の場合、火災保険料に割引が適用されることがあります。オール電化住宅は、ガスを使う住宅よりも火災リスクが少ないためです。
割引の有無や適用条件は保険会社によって異なるため、内容は個別に確認してみてください。
家で生活する上で必須の火災保険料を削減できるのは、オール電化住宅にリフォームする大きなメリットであるといえるでしょう。
オール電化住宅にリフォームするデメリット
デメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。
- 電気代が高くなる場合もある
- 調理器具が限定的である
- 設置費用が高い
- 停電時に不便なことがある
- ガスに戻したい場合に手間がかかる
それぞれ詳しくみていきましょう。
電気代が高くなる場合もある
前述のように、オール電化住宅にすると、電気代の安い夜間の電力を活用できるため、電気代が節約できるメリットがあります。
逆に、日中の電気使用量が多いご家庭の場合は、電気代が高くなってしまう可能性があるため、注意が必要です。
調理器具が限定的である
オール電化住宅のキッチンには、IHクッキングヒーターを設置します。IHクッキングヒーターは、ガラスや陶磁器など電気を通さない調理器具は使うことができません。
使える調理器具が制限される点は、デメリットの一つであるといえるでしょう。
また、IHクッキングヒーターは直火を使用しないため、例えば中華料理などのような、強い火力が必要な調理にはあまり適していません。そのため、人によっては物足りなく感じる可能性もあります。
設置費用が高い
オール電化住宅にリフォームする際は、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの設備を揃えなければいけません。
IHクッキングヒーターは一般的にガスコンロより価格が高い傾向にあり、エコキュートを設置する場合には、本体にかかる費用だけでなく工事費用も発生します。
設備の設置費用が高額になる可能性がある点には、注意が必要です。
停電時に不便なことがある
オール電化住宅はすべての熱源を電気でまかないます。そのため、停電時にはすべての設備を使うことができなくなってしまいます。
ガスや灯油と併用している住宅の場合は停電時でもガスや灯油を使うことができますが、オール電化住宅にリフォームすると、停電時はほとんどの機器が使えません。停電時に備え、あらかじめカセットコンロやガスボンベなどを準備しておく必要があります。
ガスに戻したい場合に手間がかかる
オール電化にした場合、「やっぱりガスの方がいい…」となった時に、戻すのが大変だというデメリットがあります。
設備の取り替えはもちろん、ガスの配線工事なども新たに行わなければいけなくなるためです。
特に、新築でオール電化住宅を建てた後にガスにする場合は、大規模な工事が発生することとなるため、注意が必要です。
オール電化住宅にリフォームする際の事前準備
オール電化住宅にリフォームを検討する場合には、下記4つの点を事前に準備・確認しておきましょう。
光熱費をシミュレーションしておく
まずは現在の電気の契約プランを確認し、オール電化にした場合と比較しておきましょう。ガス代が圧倒的に安い場合などもあり、オール電化にすることが必ずしも節約になるとは限らないためです。
ライフスタイルや電気の使用頻度はご家庭によって異なります。オール電化にした後の光熱費をシミュレーションし、今の光熱費と比較検討することが大切です。
エコキュートのタンク容量を決めておく
エコキュートのタンク容量を事前にチェックしておくことも重要です。タンクの容量は、基本的には家庭の使用人数を目安として決定します。
しかし、将来的に使用する人数が増える場合もあるでしょう。家族構成を考慮しつつ、余裕をもった容量を選ぶことが大切です。
設置場所を確認しておく
エコキュートは、貯湯タンクユニットとヒートポンプユニット双方のユニットを設置するスペースが必要です。
なかにはタンクの高さが2m以上のものもあり、設置の際は一定のスペースが必要となることがあります。
設備の使い勝手を確認しておく
IHクッキングヒーターやエコキュートなど、設備の使い勝手を事前に確認しておくことも大切です。特にIHクッキングヒーターは、ガスコンロとは使い方が大きく変わるため、使いにくいと感じる方もいます。
また、エコキュートは貯湯式の給湯システムとなるため、タンクに貯めている以上のお湯が必要となった場合、お湯切れを起こしてしまうリスクもあります。
設備の使い勝手が異なることを事前に把握しておくことで、導入後に後悔するリスクを軽減できるでしょう。
まとめ
オール電化住宅の概要とメリット・デメリット、リフォームする際の事前準備についてまとめました。
オール電化住宅にリフォームするには、 IHクッキングヒーターやエコキュートの導入が不可欠です。夜間の電気をうまく活用できれば光熱費の節約にもつながるほか、火を使わないため、安全面でもメリットがあります。
リフォームする前には、光熱費のシミュレーションをしておく、エコキュートのタンク容量や設置場所を確認しておく、設備の使い勝手を確認しておくなどの事前準備が必要です。
オール電化にリフォームを検討していて不安なことがある方、気になることがある方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。