2022年3月22日
【テスラの家庭用蓄電池】パワーウォールのスペックを徹底分析!蓄電池を選ぶ時のポイントや疑問も解説

電気自動車で有名なテスラ社が、2020年より日本で販売を開始した家庭用蓄電池「パワーウォール(Powerwall)」は、スマートでコンパクトなデザインながら、コストパフォーマンスに優れた大容量蓄電池です。
そこで今回は、蓄電池を選ぶ時に重要なポイントごとに、パワーウォールのスペックを分析してみました。ぜひ最後までご覧ください。
目次
パワーウォールのスペック
パワーウォールのスペックは次の表のとおりです。
メーカー希望価格 | 108万9000円 |
---|---|
蓄電容量 | 13.5kWh |
定格出力 | 5kW(充放電) |
最大出力 | 7kW(充放電,10秒間) |
充放電効率 | 90% |
定格交流電圧 | 100V/200V |
接続様式 | 単相三線式 |
サイズ(高さ×幅×奥行) | 1150 mm x 753 mm x 147 mm |
重量 | 114kg |
保証 | 10年間 |
設置方式 | 床置き・壁掛け |
設置環境 | 屋内・屋外 |
動作温度 | -20℃~50℃ |
蓄電池を選ぶ時は、次のポイントが重要になります。
- タイプ
- 蓄電容量
- 価格
- 定格出力
- サイズ
蓄電池を選ぶ時に重要なポイントごとに、パワーウォールのスペックを解説します。
なお、日本で販売されているパワーウォールはバージョン2のため、海外での正式な名称はパワーウォール2です。
しかし、国内では初めての販売のため流通している商品に2を付けず、「パワーウォール(Powerwall)」としています。そのため、本記事でもパワーウォール2とせず、「パワーウォール」と記載しております。
パワーウォールのタイプ
パワーウォールのタイプは、連係型の単機能で全負荷型となります。
家庭用蓄電池は大きく分けて、独立型と連係型があります。独立型は電力会社が供給する電力を蓄える蓄電池で、太陽光発電システムと連動しません。一方、連係型は電力会社の電力だけでなく、太陽光発電システムで発電した電力も蓄電できます。
パワーウォールは連係型の蓄電池です。太陽光発電システムとセットで運用すれば、日中で消費しきれなかった余剰電力を夜間に回すことができ、災害時に停電が起きても対応できます。
そして、連係型蓄電池はパワーコンディショナが蓄電池と太陽光発電システムで2台必要になる単機能型と、セットになって1台で済むハイブリッド型があります。
パワーウォールは単機能型です。パワーコンディショナがパワーウォールに内蔵されているので、太陽光発電システムが無くても蓄電池として稼働でき、どのメーカーの太陽光発電システムでも後付けできます。
また、全負荷型の蓄電池なので、停電が起きた時は全ての部屋に電力を送ることができます。200Vに対応しているため、エアコンやIHクッキングヒーターなどの家電製品を動かすこともできます。
つまり、パワーウォールは単独でも運用可能で、太陽光発電システムのメーカーを選ばず、停電時でも日常に近い生活を送ることができる蓄電池です。
パワーウォールの蓄電容量
蓄電容量とは、蓄電池に蓄えられる電気の量のことです。パワーウォールの場合、蓄電容量は13.5kWhになります。他社の蓄電池の蓄電容量は9kWh~12kWhが主流なのを考えると、パワーウォールの蓄電容量は頭一つ飛びぬけています。
ライフスタイルや家族構成にもよりますが、4人家族の1日の自家消費電力は約10kWhなので、蓄電容量が13.5kWhもあれば、少なくとも停電時でも1日以上持つ計算になります。
停電時に使用する家電製品を少なくすれば、停電が長期間になったとしても対応できます。
なお、パワーウォールは定格容量の100%を使用できる珍しい蓄電池になります。一般的な蓄電池は蓄電されている全ての電力を使用できません。大抵の場合が蓄電容量(定格容量)の8割~9割までしか利用できず、実際に使用できる蓄電容量のことを実効容量と呼びます。
蓄電容量が多いほど余剰電力を蓄電でき、実行/定格の割合が高いほど万が一の事態に備えることができます。そのため、パワーウォールのような大容量蓄電池は様々なシーンに役立つのでおすすめです。ただし、蓄電容量が多くなると、販売価格が高くなる傾向があります。
パワーウォールの価格
パワーウォールの本体価格は90万7500円(税込)、系統電力接続をコントロールする「Backup Gateway」をセットで導入した場合は108万9000円(税込)です。
上記の価格はメーカーの希望価格で、実際に購入する場合は販売店の工事費などを含めるため、160万円程度になります。次の表は主要蓄電池メーカーの蓄電容量と本体のみのメーカー希望価格を比較した物です。
メーカー | 商品名 | 蓄電容量 | メーカー希望価格(税込) |
---|---|---|---|
テスラ | パワーウォール | 13.5kWh | 108万9000円 |
オムロン | KPAC | 9.8kWh | 317万円~ |
シャープ | クラウド蓄電池システム | 8.4kWh | 327万8000円~ |
田淵電機 | アイビスセブン | 14.08kWh(2台分) | 220万円~ |
ニチコン | ESS-U2X1 | 16.6kWh | 440万円~ |
表で比較すると分かるとおり、パワーウォールは蓄電容量が多いにも関わらず、メーカー希望価格が他の商品と比べて圧倒的に安いです。
蓄電池の相場は蓄電容量1kWh当たり20万円以上も珍しくありませんが、パワーウォールの場合は1kWh当たり約7万3000円とリーズナブルな価格となっています。
「Backup Gateway」はパワーウォールを10台までコントロールできる機械なので、本体の数を増やすほど、1kWh当たりの単価がお得になります。
パワーウォールが他のメーカーの蓄電池に比べてコストパフォーマンスに優れているのは、次の2つの理由が考えられます。
- 卸業者や商社を介していない
- バッテリーを大量生産できるメーカー
テスラ社はパワーウォールの販売を自社でおこなっています。卸業者や商社を介していない直販モデルのため、余分な仲介料や手数料が料金に含まれていません。
また、テスラ社は電気自動車を開発しているメーカーです。電気自動車に用いられるバッテリーはパワーウォールで使用されているのと同じ製品で、テスラ社では大量生産が可能です。以上の理由により、パワーウォールの価格を抑えることに成功しています。
パワーウォールの定格出力
パワーウォールの定格出力は5kWです。蓄電容量は蓄電池に蓄えられる電気の容量のことで、定格出力は蓄えた電気を一度にどれだけ給電できるかという出力を指します。
国内主要メーカーの蓄電池の定格出力は、2.0kW~6kWになります。パワーウォールの5kWは他の蓄電池と比べると高出力で、停電時には多くの家電を一度に動かすことができます。
パワーウォールのサイズ
パワーウォールのサイズは、高さが1150 mm、横幅が753 mm、奥行きが147 mmです。最大の特長は、厚さが147mmとかなり薄いことで、外壁に設置するだけでなく、屋内・床置きもできます。
日本の住宅事情や風雨にさらされるリスクなどを考えると、スリムでスペースを取らないサイズに設計されているのは魅力的です。
パワーウォールの寿命やメーカー保証は?
パワーウォールの寿命は不明です。蓄電池は放充電を1回繰り返すことを1サイクルと呼び、サイクルを重ねていくと蓄電できる電力量が減っていきます。メーカーが定めた蓄電容量の割合を下回るようになると、蓄電池は寿命を迎えたと判断できます。
テスラ社はパワーウォールのバッテリー寿命(サイクル数)を公表していないため、寿命は分かりません。
パワーウォールのメーカー保証は10年です。設置から10年は蓄電容量70%以上の蓄電容量を保証していますので、少なくとも10年は安心して利用できます。
パワーウォールと電気自動車は相性が良いの?
結論から申し上げますと、パワーウォールと電気自動車の相性はあまり良くありません。電気自動車に給電することは可能ですが、電気自動車のバッテリーからパワーウォールに給電することはできません。
電気自動車のバッテリーを蓄電池代わりにして住宅に給電するシステムのことをV2H(Vehicle to Home: VtoH)機能と呼び、蓄電池に搭載されていることがあります。
パワーウォールにV2H機能は搭載されておらず、今後搭載されたバージョンが発売されるかどうかも未定です。そのため、万が一の事態に備えてV2H機能を活用したいと考えている方は、別の蓄電池を検討しましょう。
パワーウォールに補助金は付くの?
記事執筆時点では、パワーウォールに補助金は付きません。蓄電池は地方自治体が行なっている補助金の対象となるケースはありますが、パワーウォールは国外メーカーの蓄電池のため、補助金制度の対象になっていません。
そのため、補助金を活用して蓄電池を購入しようと考えている方は、他メーカーの製品を探してみましょう。
パワーウォールはどこで購入できるの?
パワーウォールを購入するなら認定施工店で依頼しましょう。パワーウォールは卸業者や商社を介さない直販モデルのため、テスラ社が認定した施工会社のみで購入できます。
発売当初は8社しかありませんでしたが、現在では数を増やしております。パワーウォールに興味がある方は、インターネットで検索して、問い合わせてみましょう。
まとめ
以上が、テスラ社のパワーウォールの解説になります。パワーウォールは国内主要メーカーの蓄電池と比べて次の3つが優れています。
- 大容量・高出力
- 1kWh当たりの単価がリーズナブル
- サイズが薄くて日本の住宅向き
パワーウォールの蓄電容量は13.5kWh、定格出力は5kWとなっており、他の蓄電池と比べて大容量かつ高出力な製品となっています。多くの電力を蓄えることができ、有事の際には日常に近い生活を送ることができます。
また、1kWh当たりの単価が非常に安く、コストパフォーマンスにこだわる方におすすめの製品です。厚さが他の蓄電池と比べて薄いのもポイントで、狭小スペースでも設置しやすいので日本の住宅向きの製品とも言えます。
単機能型蓄電池のため、蓄電池だけを運用することも、現在設置済みの太陽光発電システムに後から取り付けることも可能です。蓄電池で迷っているなら、テスラ社のパワーウォールの検討をおすすめします。