2022年11月11日
太陽光発電とエコキュートを連携するメリットって?対応メーカーや補助金まとめ

空気中の熱を集めてお湯を沸かす給湯システム「エコキュート」は、太陽光発電システムと連携させることで、光熱費の節約が可能です。
この記事では、太陽光発電システムとエコキュートを連携させるメリットについて、詳しく紹介します。
太陽光発電とエコキュートに使える補助金や、連携に対応しているメーカーもまとめていますので、ご家庭のエネルギー効率化を図りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
エコキュートって何?
まずは、エコキュートについて簡単におさらいしましょう。
エコキュートとは
エコキュートは、空気中の熱を集めてお湯を沸かす給湯システムです。
電気を使って運転するため、電気代の安い深夜帯に稼働させることで、光熱費の節約が可能になります。
エコキュートの仕組み
エコキュートは、空気中の熱を集める「ヒートポンプ」と、お湯を貯める「貯湯タンク」から成り立っています。
エコキュートでお湯を作る仕組みは、次の通りです。
- ヒートポンプに空気を集めて、温める
- 温められた空気をコンプレッサーで圧縮してさらに高温にする
- 高温になった空気を熱交換器を介して貯湯タンク内の水を温める
- タンク内の高温のお湯に水を足して、お風呂場や台所に給湯
エコキュートの導入にかかる費用
すでに太陽光発電システムを導入していて、ガス給湯器からエコキュートへ切り替えを検討している方もいるかもしれませんね。
ガス給湯器からエコキュートに切り替える場合にかかる費用は、総額40万円〜60万円程度が目安です。
総額
40万円~60万円程度 |
|
本体価格 | 20万円~35万円程度 |
工事費 | 15万円~20万円程度 |
電力会社申請費用 | 5万円程度 |
ガス給湯器と比べても、エコキュートの初期費用は約3倍と高額です。
しかし、エコキュートの毎月の光熱費は、ガス給湯器の約1/5程度まで安くなるため、将来的にエコキュートの方がお得になります。
さらに、エコキュートの導入には補助金制度を活用できるため、初期費用を抑える事も可能です。
エコキュートに使える補助金については、記事の後半に詳しくまとめていますので、ぜひ併せてご確認くださいね。
太陽光発電とエコキュートを連携させるメリット
エコキュートは、太陽光発電システムと連携させて使うことで、光熱費を節約できます。
そのほかにも、次の3つのメリットを期待できるでしょう。
- 深夜電力を安く使える
- 卒FIT後も余剰電力を有効に使える
- エネルギー効率アップ
1つずつ詳しく解説します。
深夜電力を安く使える
太陽光発電システムとエコキュートを一緒に設置すると、関西電力など一部の電力会社において、深夜帯に電気を安く使えるプランへ加入できるようになります。
深夜帯に電気を安く使えるプランは、昼間の電気代が高い傾向にありますが、太陽光発電システムを設置すれば、昼間の電気を家庭でまかなうことも可能です。
卒FIT後も余剰電力を有効に使える
太陽光発電システムは、設置後10年間は余剰電力を固定額で電力会社へ売ることができます。
しかし、11年目に卒FITを迎えると、余剰電力の売電価格は一気に安くなるため、太陽光発電で作った電気は、自家消費を目指す考え方が堅実です。
給湯は、家庭におけるエネルギー量の約3割を占めるため、太陽光発電システムの余剰電力の使い道としてエコキュートは最適です。
エネルギー効率アップ
エコキュートと太陽光発電システムを連携させると、昼間にお湯を作ることができるため、エネルギー効率がアップします。
エコキュートは、電気でお湯を沸かすため、電気料金の安い深夜帯に運転させる方法が一般的でした。
しかし、昼間に太陽光発電で作った電気によってエコキュートを運転させれば、お湯を沸かす時間が気温が低い深夜に比べて短くなるため、給湯効率が上がります。
太陽光発電とエコキュートを連携させるデメリット
太陽光発電とエコキュートを連携させると多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
- 停電時は湯はりできない
- 初期費用が高額
- 設置スペースの確保
停電時は湯はりできない
エコキュートは、停電時に浴槽ヘの自動湯はりはできません。
断水していない場合は、貯湯タンク内に残ったお湯を、蛇口やシャワーから出すことはできます。
ただしこの時、貯湯タンク内のお湯が高温のまま出てくる可能性もあるため、火傷には十分な注意が必要です。
初期費用が高額
エコキュートを導入すると、ガス給湯器に比べて月々の光熱費をおさえる事ができますが、初期費用が高額な点はデメリットとなるでしょう。
ガス給湯器の初期費用は20万円程度かかるのに対し、エコキュートの初期費用は約40万円〜60万円程度と、約2〜3倍の差があります。
設置スペースの確保
エコキュートは、ヒートポンプと貯湯タンクを設置しなければなりません。
ヒートポンプは、エアコンの室外機ほどの大きさ、ヒートポンプは家庭用冷蔵庫ほどの大きさがあるため、ガス給湯器に比べると広いスペースが必要です。
貯湯タンクは重量があるため、安全に設置するために、基礎工事でコンクリートの土台を作る場所も必要となります。
エコキュートを導入する際は、販売店や工務店とよく相談を行って設置場所を決めましょう。
太陽光発電とエコキュートを連携できるメーカー一覧
卒FITを迎えた家庭では、太陽光発電で作った電気を自家消費するために、エコキュートを連携させるケースが増えてきました。
こうした背景もあり、現在多くのメーカーから、太陽光発電システムと連携できるエコキュートが販売されています。
ここでは、太陽光発電とエコキュートを連携できるメーカーと、昼間にお湯を沸かす設定方法をご紹介します。
三菱
天気予報と連動して、太陽光発電とエコキュートの連携をより効率化するAI機能があります。
天気予報を用いた余剰電力活用は、次の2種類から設定可能です。
お天気リンクAI【最大】 | 夜間の沸き上げ量を抑制。【標準】よりも昼間の沸き上げ量を増やし、自家消費を促します。 |
お天気リンク【標準】 | 天気予報と連動して翌日の発電量を予測。余剰電力を使って昼間の沸き上げ量を増やします。 |
【昼間にお湯を沸かす設定方法】
専用アプリを入れたスマホかタブレットから設定を行います。
- 「DIAHOT REMORT」メニュー画面を開く
- 「遠隔操作・連携設定」から「太陽光発電との連携」をON
- 必要項目を入力する
パナソニック
「ソーラーチャージ」機能では、お湯の沸き上げを夜間と昼間に分散して、太陽光発電の余剰電力を有効活用できます。
ソーラーチャージの設定は、次の3つの活用方法から選べますよ。
エコキュート単独 | 専用リモコンから設定すると、夜間と昼間の沸き上げを分散します。 |
エコキュート+スマホ | 専用アプリが、翌日の天気予報をチェックして、翌日が晴れの場合、夜間と昼間の沸き上げを自動的に分散します。 |
エコキュート+AiSEG2 | IoTやAIに対応したAiSEG2が、翌日の天気予報と余剰電力をチェックして、夜間と昼間の沸き上げを自動的に分散します。 |
【昼間にお湯を沸かす設定方法】
※エコキュート単独に設定している場合。
- 台所リモコンのメニュー画面から「沸き上げ設定」を選ぶ
- 「ソーラーチャージ」設定から「1回設定」or「連続設定」を選ぶ
- 「開始時刻」と「終了時刻」を設定する
日立
簡単なリモコン操作により、太陽光発電の余剰電力を活用して昼間にお湯を沸かせる「太陽光発電利用沸き上げ」が利用できます。
お湯の沸き増しは、天気予報にあわせて、前日か当日に設定可能です。
翌日利用設定 | 翌日の天気予報を確認して、翌日昼間の沸き上げ時間を設定できます。 |
当日利用設定 | 天気予報が外れて晴れた場合、当日でも沸き増し設定できます。 |
【昼間にお湯を沸かす設定方法】
- 専用リモコンで「タンク」の「太陽光発電利用設定」を選ぶ
- 「当日」「翌日」「毎日」から利用したい日を選ぶ
- 沸き上げ開始時間と運転日付を確認
- 「湯切れ防止機能」を確認できたら「決定」を押す
ダイキン
ダイキンには、業界初の太陽光発電でお湯を沸かせる「おひさまエコキュート」があります。
また、通常の夜間蓄熱型のエコキュートでも「昼間シフト機能」を利用すれば、昼間にお湯の沸き上げが可能です。
おひさまエコキュート | 業界初の太陽光でお湯を沸かすエコキュート。
天気の良し悪しに関わらず、あらかじめ設定した昼間の時間帯にお湯を沸かします。 |
昼間シフト機能 | ダイキンの夜間蓄熱型エコキュートで、昼間にお湯を沸かしたい場合に設定できる機能。
前日か毎日設定かのどちらかを選べます。 |
【昼間にお湯を沸かす設定方法】
※夜間蓄熱型エコキュートの場合。
- 専用リモコンから「昼間シフト機能」を選ぶ
- 「1日」「毎日」「切」から選ぶ
- 開始時刻と終了時刻を設定する
コロナ
コロナには、太陽光発電の余剰電力を使って、昼間にお湯を沸かす方法が3つあります。
ソーラーモードアプリ
(エコキュート+スマホ) |
HEMSを導入していなくても、アプリからソーラーモードの自動運転設定が可能。
天気予報データから、夜間と昼間に分けて沸き上げます。 |
ソーラーモード
(エコキュート単独) |
天気予報や季節に応じて、専用リモコンからソーラーモードを設定できます。 |
ソーラーモードプラス
(HEMS) |
専用HEMSを介して、天気予報データから自動で夜間と昼間に分けて沸き上げます。 |
【昼間にお湯を沸かす設定方法】
※ソーラーモード(エコキュート単独)の場合。
- 専用リモコンの「タンクメニュー」から「運転設定」を選ぶ
- 「2日設定」か「1週間設定」どちらかを選ぶ
- 日付と開始時刻を設定する
太陽光発電とエコキュートに使える補助金
太陽光発電システムやエコキュートを導入する際に使える、自治体の補助金の一例をまとめました。
補助対象となる条件や金額は、自治体ごとに異なります。
受付期間や申請方法も自治体によって異なるため、太陽光やエコキュートを導入する際は、事前に各自治体の公式サイトなどから確認を行い、早めに準備を進めましょう。
太陽光発電に使える補助金一例
自治体 | 補助金額 | 名称 |
東京都 | 3kW超え50kW未満の場合10/kW(上限5,000,000円) | 東京ゼロエミ住宅導入促進事業 |
大阪府南川河内群河南町 | 1kWあたり30,000円 | 令和4年度住宅用太陽光発電システム設置費用補助 |
北海道帯広市 | 対象経費の1/10
(上限50,000円) |
帯広市新エネルギー導入促進補助金 |
福岡県 | 200,000円以内 | ふくおか県産材家づくり推進助成制度 |
鹿児島市 | 1kWあたり15,000円
(上限150,000円) |
令和4年度太陽光deゼロカーボン促進事業補助金 |
エコキュートに使える補助金一例
自治体 | 補助金額 | 名称 |
東京都新宿区 | 一律100,000円 | 新エネルギー及びエネルギー機器等導入補助金制度 |
大阪府泉大津市 | 上限20,000円 | 泉大津市高効率給湯器設置補助金 |
北海道帯広市 | 対象経費の10%
(上限30,000円) |
帯広市新エネルギー導入促進補助金 |
福岡県北九州市 | 対象経費の⅓
(上限300,000円) |
空き家リノベ補助(住まいの安全・安心流通促進事業) |
沖縄県沖縄市 | 一律30,000円 | 沖縄市住宅太陽光・省エネ設備設置補助金 |
まとめ
太陽光発電とエコキュートを連携させると、長期的に見て光熱費を節約できます。
従来のエコキュートは、電気代の安い深夜帯に沸き上げを行って光熱費の節約を図る仕組みでした。
しかし現在は、さまざまなメーカーから、太陽光発電システムと連携できるエコキュートが販売されているため、太陽光発電の余剰電力を使って、発熱効率の高い昼間に沸き上げを行えます。
高額な初期費用はデメリットですが、各自治体による補助金制度を活用すれば、初期費用を抑えることも可能です。
ぜひこの機会に、お住まいの自治体の補助金制度を確認してみてくださいね。
太陽光発電とエコキュートを連携させて、光熱費を賢く節約しましょう。