2022年10月3日
太陽光発電と蓄電池セットの価格相場|セット導入は本当にお得?

太陽光発電システムの導入を検討する際、蓄電池もセットでの導入を検討しているご家庭も多いのではないでしょうか。
その中には、蓄電池をセットで購入した場合の価格相場が分からず、お悩みの方もいるかもしれません。実際に「相場が分からず検討しようがない」という声もよく聞かれます。
実際の導入価格は、製品のメーカーや性能の違いの他、設置工事費用によって大きく異なります。
それでも、おおよその相場を知っておけば、相場とかけ離れた価格で提案された場合にしっかりと対応でき、気が付かずに高い費用を払ってしまうことは防げるでしょう。
この記事では、太陽光発電と蓄電池をセットで導入する場合の価格相場、セットにするメリットなどを紹介しています。
できるだけ安く購入する方法や、蓄電池のみの後付けについても紹介していますので、あわせてご覧ください。
太陽光発電と蓄電池セットの価格相場
太陽光発電と蓄電池をセットで導入する際の費用の例は、平均して250万円ほどです。
これは、一般的なご家庭を想定し、太陽光発電システムの容量を5kWh、蓄電池の容量を6kWhとした場合の価格です。
経済産業省「令和3年度以降の調達価格等に関する意見(案)」によると1kWhあたり27.5万円が相場であることが分かります。
また、同省の「定置用蓄電システムの目標価格および導入の見通しの検討」によると、蓄電池システムは補助金ありきの目標価格として、1kWhあたり18.7万円とあります。
これらをもとに一般的な家庭のシステム容量で算出した場合の相場が、おおよそ200〜300万円となっています。
ただし、それぞれのシステムの容量や大きさ、屋根材などによっても変動しますので、あくまでも相場価格として捉えておくのが良いでしょう。
また、蓄電池に関しては、原材料の高騰や不足、生産ラインを増やせないなどの影響を受け、価格は年々下がりにくい傾向にあります。
さらに、2021年末からは、各メーカーで太陽光発電システム・蓄電池の値上げが始まりました。
太陽光発電システムは、パネルのシェア率の高い中国の電力不足で供給力が落ちていること、シリコンや半導体などの原材料が不足していることなどが、システム全体の値上がりに影響してきています。
蓄電池システムに関しても同様に、半導体不足の他、電気自動車へのシフトによる原材料の高騰が影響しているようです。
今後も需要が増えるであろう太陽光発電システムと蓄電池ですが、供給能力が大きく増えない限り、価格はこれからも下がりにくくなってくるでしょう。
太陽光発電と蓄電池セットの運転モード
太陽光発電システムと蓄電池を同時にセットした場合、基本的な運転モードは次の2種類です。
- 経済性モード
- クリーンモード
これらは、主に固定価格買取制度(FIT制度)が終了するまでの使い方と、その後の使い方に分けられます。
FIT制度が終了するまでの使い方例(経済性モード)
FIT制度が終了するまで、つまり、太陽光発電と蓄電池を設置してから10年が経過するまでの主な使い方です。
太陽光発電で作った電気を家庭で自家消費し、余った電気を売電します。蓄電池は夜間の安い電気で充電し、太陽光発電で充電できない時間帯に電気を使うようにします。
このように上手に活用することで、購入するのは夜間の料金が安い電気のみで良くなるといった仕組みです。
FIT制度が終了した後の使い方例(クリーンモード)
FIT制度終了後、つまり、設置して10年が経過した後は、自給自足向けのモードに切り替えます。
太陽光発電で発電した余った電気は、売電するのではなく、蓄電池に貯めていきます。
蓄電池に貯めた電気を太陽光発電でまかなえない時間帯に使うことで、電気の自給自足が可能になります。
太陽光発電と蓄電池セット導入のメリット
太陽光発電と蓄電池をセットにするメリットは、下記のとおりです。
- 工事費用が安く済む
- パワーコンディショナーが一つで済む
- 売電量・売電収入を増やせる
- 卒FIT後も電気の自家消費ができる
- 災害対策になる
これらについて順番にみていきましょう。
工事費用が安く済む
太陽光発電と蓄電池の同時セットで、工事費用をまとめて一つにまとめることができ、セット導入でない場合と比べて10〜20万円ほど安く済みます。
例えば、太陽光発電システムのみを導入する工事を行い、その10年後に蓄電池の工事を行う場合、工事費用が二重にかかってしまうこととなります。
太陽光発電と蓄電池をセットで導入した場合は、工事が一回で済むため、必然的に工事費用は安くなるでしょう。
また、これらを同時に設置することで、セット割引が適用されることもあります。
パワーコンディショナーが一つで済む
パワーコンディショナーは、太陽光発電・蓄電池どちらにも必要です。
太陽光発電システムと蓄電池を同時に設置すれば、ハイブリッドパワーコンディショナーを選ぶことができ、一台分の費用で両方を使うことが可能になります。
工事費用と同じように、太陽光発電のみを先に設置し10年後に蓄電池を改めて導入するとなった場合には、別途パワーコンディショナの費用がかかってしまいます。
パワーコンディショナーは一台15〜30万円ほどしますので、その分の費用が後からかかるとなると、状況によっては痛い出費になりかねません。同時に設置することで、パワーコンディショナーの費用も抑えることが可能です。
売電量・売電収入を増やせる
太陽光発電と蓄電池の一般的な使用方法は、日中に太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯め、それを夜間に使うという方法です。
蓄電池をセットで購入すれば、料金の安い夜間に電気を買って蓄電池に貯めておき、通常はそれを利用し、日中は太陽光発電で発電した電気を売電するという方法も可能です。
蓄電池を同時に設置することで、売電量や売電収入を上げることができるといえるでしょう。
卒FIT後も電気の自家消費ができる
FIT制度が終了した後は、蓄電池の運転モードを切り替えることで、電気の自家消費が可能になります。
太陽光発電システムと同時に蓄電池を設置しておけば、余った電気を蓄電池に貯めておけるので、自宅の電気料金の削減につながります。
2022年8月には、大手電力4社の電気料金の値上げがありました。今後も電気料金が上がる可能性が大いに考えられる中、電気の自給自足ができる生活を目指せることは、大きなメリットになるでしょう。
災害対策になる
蓄電池があれば、災害発生による停電時にも問題なく電化製品を使えます。
太陽光発電のみ導入している場合は、夜間や雨天時などは発電ができません。
蓄電池をセットで導入すれば、停電時にも蓄電池に貯めた電力を数日間は使うことができ、太陽光発電システムで発電できない夜間や雨天時でも、電気を使用できるようになります。
また、太陽光発電システムのみの場合は、災害時に使える非常用コンセントは一ヶ所のみです。蓄電池を設置しておけば、採用する型にはよるものの、自宅全体で電気が使えるようにもできます。
近年は感染症の懸念などもあり、自宅避難をすることも考えられます。緊急時にいつものように電化製品が使えることは、大きな安心にもつながりますね。
太陽光発電と蓄電池を安く導入する方法
従来に比べ、太陽光発電と蓄電池の導入にかかる費用は安くなったといわれますが、それでも一定の費用がかかってしまいます。
ここでは、太陽光発電と蓄電池をできるだけ安く導入する方法を3つ紹介します。
国や地方自治体の補助金を活用する
太陽光発電と蓄電池を導入する際には、国や地方自治体の補助金を活用できる場合があります。
自治体の補助金は、都道府県によるものと市区町村によるものの2種類あります。これらの詳しい内容や条件については、お住まいの都道府県や市区町村のサイトを確認してみると良いでしょう。
補助金は年度単位の募集で、先着順であることが多く、予算枠に達した時点で締め切りとなることが多くあります。
受付の開始時期を事前に把握しておくことが大切ですので、あらかじめ情報収集しておくことをおすすめします。
金融機関が提供するソーラーローンを活用する
銀行や信販会社では、太陽光発電システムを導入する家庭向けに、ソーラーローンを提供していることがあります。ソーラーローンを活用すれば、初期費用を抑えることができるでしょう。
ソーラーローンは太陽光発電システムを導入するときに利用できるローンのことですが、蓄電池も融資の対象になっていることがあります。
また、ソーラーローンを利用して太陽光発電と蓄電池を設置すると、売電収入と電気料金による支出が相殺できるようにもなります。
もちろんローン完済後もこの効果は持続しますので、ソーラーローンの負担は実質ゼロにできるともいえるでしょう。
ライフスタイル・目的に合った製品を選ぶ
ご家庭のライフスタイルや目的に合ったシステムを導入するのも、安く導入するポイントです。
例えば、性能がご家庭の使用目的に合っていれば、最新のものではなく少し前の旧型のモデルを購入するのも一つの手です。性能がそれほど変わらずに価格が安くなっていることが多く、お得に購入できます。
特に年明けの1〜3月頃までは、各メーカーから最新型が発売され、旧型の製品の価格が見直される時期です。
性能や容量にあまりこだわりがない場合には、この時期に購入するのも狙い目ですよ。
蓄電池のみを後付けする場合
近年、ZEH(ゼロエネルギーハウス)という言葉も広まり、新築で太陽光発電と蓄電池をセットで導入するご家庭も増えてきています。
一方で、リフォームでこれらを設置するお客さまの方がまだまだ多いのも事実です。
太陽光発電システムを既に導入しているご家庭でも、後から蓄電池を導入することは可能です。
後付けの場合は、設置場所や機器の互換性など、確認しなければいけない点も多くあるため、業者と相談して決めていく必要があるでしょう。
また、電気料金の単価と売電単価を比べると、現在では電気料金の単価の方が高くなってきています。蓄電池の導入で割高な電気料金を節約できる点は、FIT制度終了後も大きなメリットになりますね。
蓄電池だけを後付けで設置することは可能ですが、はじめから太陽光発電とセットで導入しておくとことで得られるメリットも多くあります。
これから太陽光発電システムを導入しようと考えているご家庭は、蓄電池も同時に検討してみることをおすすめします。
まとめ
太陽光発電と蓄電池をセットで導入する際の価格相場やメリットについて解説しました。
実際のセット価格は、メーカーや製品の性能・容量などによって変動します。しかし、太陽光発電システムを導入した後に蓄電池を設置する場合と比べると、はじめにセットで購入する方がお得であるのは事実です。
太陽光発電と蓄電池をセットで安く設置するには、補助金を活用したり、ソーラーローンを利用したりといった方法も考えられます。
太陽光発電システム導入を検討しているご家庭は、これを機に、蓄電池の同時設置も一緒に検討してみてはいかがでしょうか。
セット導入の価格について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。