2022年11月18日
家庭用蓄電池はこう選ぶ!選ぶ際に確認したいポイントと目的別の選び方

家庭用蓄電池は、電気の自給自足や有効活用、災害時の停電への備えとして注目されています。
しかし、どの機種のどの製品を選べば良いのか分からない、そもそもどのように選べば良いのかが分からない人も多いのではないでしょうか。
蓄電池は、ご家庭の電気使用量やライフスタイルを考慮して選ぶことで、役割を最大限に果たします。
この記事では、蓄電池の種類と選ぶ際に確認したいポイント、目的別の選び方を解説しています。停電時の違いで選ぶ方法もあわせて紹介していますので、ぜひご覧ください。
蓄電池の種類
選び方の前に、まずは蓄電池の種類を紹介します。選ぶ前にどのような種類があるのかを知り、希望する使い方をイメージしておくと決めやすくなるでしょう。
独立型
電力会社による一般的な電力系統で充電する蓄電池が「独立型」です。
接続されたブレーカーを通して電化製品に送電するタイプや、蓄電池に内蔵されているコンセントに電化製品のプラグを差し込んで送電するタイプがあります。
独立型の場合は、基本的には太陽光発電システムからの充電や供給はできません。
独立型の蓄電池は、主に夜間電力を使って蓄電し昼間の電気使用量を減らす場合や、災害時の停電に備える場合に使うことが多いです。
連携型
一般的な電力系統と太陽光発電システムどちらからも充電できる蓄電池が「連携型」です。
送電は、コンセントからではなく分電盤や電気配線を通して行われます。
連系型は太陽光発電と併用できるため、停電で電力会社からの送電が止まった場合でも、太陽光発電システムが動いていれば充電できます。災害時にも安心なタイプであるといえますね。
EV対応型
EV(電気自動車)から充放電ができるよう、パワーコンディショナの機能を備えた蓄電池が「EV対応型」です。このEV対応型は、EV自体が蓄電池になっています。
製品によっては、電力会社からの電力・太陽光発電システムどちらからの充電もできます。
EV対応型は、独立型や連携型に比べ、容量が大きいことが特徴です。
日中に太陽光発電でしっかりと発電し余剰電気を夜に活用するようにすれば、電気の自給自足にも近づくでしょう。
3つの型について、下記の表にまとめましたのでご覧ください。
独立型 | 連携型 | EV対応型 | |
特徴 | 一般電力から充電可能 | 太陽光発電・一般電力から充電可能 | 電気自動車からの充放電が可能 |
メリット | 停電時の予備電源として使用できる | 太陽光発電が稼働すれば停電時でも使用できる | 容量が大きい
電気代の節約になる |
太陽光発電との併用 | 不可 | 可 | 可 |
蓄電池を選ぶ際に確認したい8つのポイント
蓄電池を選ぶ際は、特に下記8つの項目を確認しておくことが大切です。
- 蓄電容量
- 定格出力
- 充放電回数
- 設置場所
- 機能性
- サイズ
- 充電時間
- 保証内容
蓄電容量
蓄電容量は、蓄電池が規定の条件下で蓄えられる電気量のことを言います。単位はkWhで表されます。
主な家庭用蓄電池は5kWh〜8kWhですが、10kWhを超える製品もあります。
蓄電池の必要容量を判断する際、まずは1年間のご家庭の電気の使用状況を確認する必要があります。
電気の使用量は季節によっても変わるため、月ごとに把握しておくのがおすすめです。
使用量を把握することで、ご家庭の電気使用量に見合ったおおよその容量が割り出せます。
また、蓄電池を長く使いたい場合には、将来的な電気使用量を予想することも大切です。
子どもが産まれたり、親と同居したりといったライフスタイルの変化があると、日中の電気使用量が大きく増えることも考えられます。
ライフステージで変わっていく生活に備え、5年、10年先までシミュレーションをしておくことができれば、蓄電池選びの失敗も少なくなるでしょう。
また、適切な容量の蓄電池を選ぶには、普段使用する電化製品がどれくらい電力を消費するかを知っておく必要があります。
下記は主な電化製品の消費電力です。容量を選ぶ際の参考にしてみてください。
冷蔵庫 | 100~500W |
電子レンジ | 1000〜1500W |
炊飯器 | 350~1300W |
IHクッキングヒーター | 1400~3000W |
オーブントースター | 1200~1350W |
テレビ | 100~300W |
エアコン | 300~1000W |
洗濯機 | 500~1200W |
掃除機 | 850~1100W |
デスクトップパソコン | 100~300W |
ノートパソコン | 50~120W |
定格出力
蓄電容量は蓄電池に貯められる電気量を指しますが、定格出力は、蓄電池からすぐに取り出せる電気量のことを指します。単位はkWで表されます。
購入した蓄電池が使いたい電化製品を動かすのに必要な電気量を出力できなければ、せっかく貯めた電気を有効に使うことができません。
家庭用蓄電池は家庭内のさまざまな電化製品で使用することが考えられるため、一度に使用する電化製品や設備にどれほどの定格出力が必要となるかを確認しておく必要があります。
充放電回数
充放電の回数のことを「サイクル」といい、このサイクル回数で蓄電池の寿命がある程度決まります。蓄電容量が0%になった時点で100%まで充電し、それが再度0%にまで使い切るまでの間を「1サイクル」と数えます。
保証されている充放電回数を超えると蓄電容量は徐々に減っていきます。そのため、充放電回数は多いに越したことはありません。
もし購入した蓄電池の容量がご家庭の電気使用量に応じず小さいものであったとしたら、充放電回数が増加し、早く寿命を迎えてしまう可能性があります。
メーカーや製品ごとに保証されている充放電回数は異なりますので、選ぶ際の目安にすると良いでしょう。
設置場所
蓄電池は、容量が大きくなればなるほど本体のサイズも大きくなります。そのため、容量と設置場所の兼ね合いも確認しておかなければなりません。
また、修理やメンテナンスを行う際には、設置スペース以外にある程度の作業空間が必要です。
設置場所によっては修理やメンテナンスができなくなることも考えられるため、蓄電池を選ぶ際は設置場所にも配慮が必要です。
さらに、屋外設置型の蓄電池は雨や風にさらされるため、屋内設置型に比べると故障のリスクがやや高くなります。
反対に、屋内設置型は雨や風の心配はありませんが、稼働している時に多少の騒音がする場合があります。設置場所のスペース確保と、場所によるデメリットは事前に理解しておくと良いでしょう。
機能性
蓄電池には、安全モード・環境優先モード・経済優先モードなど、使い方を選べる機能が備わっていることがあります。
搭載されている機能によって蓄電池が果たす役割は大きく変わってきますので、機種選びに失敗すると、思っていたとおりに使えないこともありえます。
より快適に使いたいのであれば、ご家庭に最適な機能性を備えたものを選ぶようにしましょう。
サイズ
一般的な家庭用蓄電池であれば、屋内型の場合はエアコンの室外機1台分程度の大きさがあります。屋外型の場合は、それよりも少し大きいものが主流です。
しかし、蓄電池も年々コンパクトになっており、あまり設置場所を取らずに設置しやすくなってきています。
とはいえ、容量が大きくなるにつれ本体サイズも大きくなりますので、設置場所を考慮せざるを得なくなる点に注意が必要です。
実際に設置しようと考えている場所に置けるサイズかどうか、事前にしっかりと採寸しておくのがおすすめです。
充電時間
蓄電池を充電するためにかかる時間は、容量によって異なります。
充電するためにかかる時間は容量と相関関係にあり、容量が大きいほど充電時間は長くなります。商品カタログに充電時間の記載がありますので、事前に確認しておきましょう。
保証内容
一般的な家庭用蓄電池には、10〜15年程度の保証が付いてきます。保証内容は、メーカーや販売会社によって多少違いがあります。
メーカーの保証内容についてはホームページなどで確認し比較できますが、販売会社は独自のサービスを展開しているところもあります。
そのため、複数の販売会社から見積もりをとって比較するのも一つの方法でしょう。
蓄電池は長く使うものですので、保証内容をしっかりと比較検討し、後悔のないように選ぶことが大切です。
【目的別】蓄電池の選び方
蓄電池はメーカーや製品ごとに特徴が異なるため、ご家庭の電気使用状況やライフスタイルによって選ぶことが大切です。ここでは、蓄電池を使う目的別の選び方を紹介します。
太陽光発電と併用する場合
太陽光発電と蓄電池を併用したい場合には、太陽光パネルの容量を基に蓄電池を選ぶ必要があります。
太陽光発電で1日あたりどのくらい発電量・余剰電力があるのか、また、家庭の使用量はどのくらいかを把握した上で、蓄電に回したい電気量を考慮して選ぶと良いでしょう。
また、太陽光発電と蓄電池を同時に導入する場合は、設置場所を取らない「ハイブリッド型」の蓄電池を選ぶのがおすすめです。
もしすでに太陽光発電を導入していて蓄電池を後付けしたい場合は、太陽光発電ごと買い換えるか、「単機能型」の蓄電池を選ぶ必要があります。
ハイブリッド型蓄電池については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「ハイブリッド蓄電池」のメリット・デメリットって?単機能蓄電池との違いや主要メーカー5社を紹介!
夜間電力を有効に使いたい場合
オール電化住宅に移行し夜間電力を有効に使いたいといった場合には、ご家庭の電気使用量を把握して蓄電池を選ぶ必要があります。
オール電化住宅の場合はIHクッキングヒーターやエコキュートを使用することが多く、電気使用量は大きく増加します。
そのため、その分をまかなうのに十分な容量のものを選びましょう。
災害時の停電に備えたい場合
災害時の停電に備えるために蓄電池を導入する場合は、停電時にどこまで備えるか、どのように過ごしたいかを考えると良いでしょう。
停電時もなるべく普段通りの生活を送りたいのであればそれなりの電力を供給できるものを選ぶ必要がありますし、最低限の電化製品だけ使えれば良いのであれば最低限の電力をまかなえるものを選べば良いこととなります。
停電時に使いたい電化製品によって必要な容量が変わってくるため、どの製品を使いたいのかあらかじめ考えておくことが大切です。
【参考】停電時に優先したい電化製品の違いで選ぶ方法も
蓄電池を停電時の備えとして導入したいと考える場合は、停電時の電力供給について把握しておく必要があります。
100V対応と200V対応
家庭用の電化製品は、100Vで稼働しているものと200Vで稼働しているものがあります。
それに伴い、蓄電池には100V対応と200V対応の2つの種類があります。
家庭用の電化製品の中で200Vの電源を必要とするのは、エアコンや冷蔵庫など消費電力の大きい電化製品です。
蓄めた電気をご家庭のあらゆる電化製品に使いたいと考えている場合は、200V対応の蓄電池を検討する必要があるでしょう。
全負荷型と特定負荷型
蓄電池には「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類があり、それぞれ停電時の対応が異なります。
全負荷型は家庭にあるすべての電源に電気を供給できます。
一方で、特定負荷型はあらかじめ設定した一部の電源に対してのみ電気を供給できます。
全負荷型の場合はオール電化住宅でも日常と変わらない生活が可能になるため安心感がある一方、特定負荷型は停電時に最低限の家電を長く使用できるといったメリットがあります。
当然ながら、蓄電量の多い全負荷型の方が本体価格は高くなります。ご家庭の希望と費用のバランスを考えて選ぶようにすると良いでしょう。
まとめ
蓄電池の種類と選ぶ際のポイント、目的別の蓄電池の選び方、停電時の違いで選ぶ方法について解説しました。
蓄電池選びには、事前に容量や出力、充放電回数、設置場所など、あらゆる項目で希望を絞っておくことが重要です。
販売会社から見積もりをとる場合も、蓄電池を使う目的や使いたい電化製品をあらかじめ定めておくことで、意図と異なる見積もりとなることを防げます。
記事を読んでも選び方がまだいまいち分からない…という方もご相談を承りますので、お気軽にお問い合せください。