2022年10月9日
家庭用風力発電は自宅に設置可能?おすすめの蓄電池3選を紹介

風力発電といえば、大型の風車が回って発電するイメージがありますよね。
最も有名な家庭用電力発電は太陽光発電ですが、実は風力発電も一般家庭に導入できるのをご存知でしょうか?
近年は家庭に設置できる小型の風力発電システムが開発されており、実際に一般家庭に導入されている方もいるようです。
この記事では、家庭用の風力発電がどのようなものなのか、また風力発電におすすめの蓄電池についてご紹介します。
家庭で電力発電をして電気代を節約したいと考えている方は、参考にしてくださいね。
家庭用風力発電蓄電池とは
家庭用風力蓄電池とは、風のある時間に風力発電により発電した電気を充電して貯めておける一般家庭用の二次電池・バッテリーです。
風力発電による発電量は風の向きや強さに左右されるため、一度作った電気を蓄電池に充電してから利用するのが一般的です。
家庭用蓄電池があれば、必要なときに電気機器に電気を供給できます。
大容量の蓄電池は停電時でも10時間以上使用でき、自然災害によって電気が使えない時も非常用電源として使用可能です。
蓄電池は1kWhあたり約15〜20万円と高額なイメージがありますが、国や自治体の補助金制度もあり、以前に比べると導入しやすくなりました。
一般家庭に風力発電は導入できるか
結論からいうと、一般家庭に風力発電は導入できます。
うまく活用すれば、電気代節約につながります。
風力発電とは、風の力で風車を回して、風車の回転運動を発電機を利用して電気に変換する発電方法です。
発電時に温室効果ガスを排出しない発電システムで、太陽光発電と同じく再生可能エネルギーの中心技術に位置づけされています。
山林や海上などに、いくつも巨大な風力発電が立っているのを見たことがある方もいると思います。
ただし、家庭用の電力補助として使用する場合は、それほど大きいものは必要ありません。風力発電機の中には一般家庭に導入できる小型サイズもあり、家庭や公共施設などでも設置されています。
民生用小型風力発電システムと呼ばれていて、メーカーや輸入販売店で購入可能です。
民生用小型風力発電システムとは
小型風力発電システムは、中大規模の風力発電とは違って2〜3m/秒の微風から発電可能で、騒音が小さいのが特徴です。
風車の設置スペースさえ確保できれば、市街地などさまざまな場所に導入できます。
たとえば、世界最高機能の小型風力発電システムである「エアドルフィン」を一般家庭に導入する場合、必要なスペースは以下の通りです。
- 基礎工事不要で地上から設置用タワーを建てる:約1×1m
- 基礎工事必要で地上から設置用タワーを建てる:約2×2m
- 屋上に平置きタイプのタワーで設置する:約3×3m
ただし、騒音が小さいとはいえ風の加減により遠くまで聞こえるケースもあるため、近隣への配慮が必要です。
どのぐらい騒音があるか気になる場合は、実際に設置されている小型電力発電、例えば原宿の東急プラザや横浜の高島屋などの屋上広場に行き、小型風力発電の音を実際に聞いてみるといいでしょう。
今までは商用系統と連携しない独立型システムがほとんどで、電気機器に対して単独で電気をまかなうための蓄電池や充放電コントローラ、インバーターの併設などが必要でした。
そのため、発電の利用用途が限定され、周辺機器分のコストも高くなり、利用されているのは屋外照明や山間部などに限られていました。
しかし、最近はインバーターなどがなくても稼働する系統連系型の小型風力システムの実用化が進められ、家庭用としても使用されています。
一般家庭に風力発電を導入するときに確認すべきこと2つ
一般家庭に小型の風力発電を導入するときは、次の2つの点を確認しましょう。
- 法律
- 自治体への確認
自宅に設置するスペースはあっても、法律や条例などで引っかかった場合は設置できません。
法律
風力発電システムを導入するにあたり、確認すべき法律は以下の5つです。
▼建築基準法
建築基準法では支柱が15m未満であれば、建築確認が不要です。
▼航空法
プロペラ先端が60mよりも高くなれば航空法が適用され、一般家庭のように公共性がない場所では設置できません。
▼消防法
消防法では一般家庭の場合は不燃材で発電設備を作る必要があります。
▼電気事業法
電気事業法では発電規模によって計画から運転するまで、それぞれの段階で許可をもらうための届出が必要です。
20kWh未満の小型風力発電の場合は、届出はいりません。
▼騒音規制法
住宅街では騒音規制法が適用になり、時間によって騒音値が決められています。
どれだけ騒音を小さくしても、物理的に風力発電の低周波騒音は取り除けません。
低周波騒音による影響が近隣にも及ぶと、最悪の場合は近隣住民から騒音で賠償請求されるケースがあります。
自治体への確認
自治体によって、環境保全地域であったり、条例が制定されていたりして、風力発電の導入に許可が必要な場合があります。
そのため、小型風力発電システムを導入する前に、お住まいの自治体に確認しましょう。
家庭用風力発電のメリット
家庭用風力発電のメリットは、以下の6つです。
- エネルギー源が枯渇しない
- 24時間発電できる
- 発電効率がいい
- 電気代を節約できる
- 災害時に停電しても電気を使える
- 離島のような電気がない場所でも発電可能
風力発電は風が程よく吹いていれば24時間発電でき、蓄電池を設置して発電した電気を家庭で利用すれば電気代を節約できます。
ただし、風が弱い日や強風の日など天気に左右されるので、風力発電の電気を使用できるかどうかは風次第です。
また、他の再生可能エネルギーと比較すると、発電効率がいいのも魅力の一つです。
再生可能エネルギー | 発電効率 |
風力発電 | 20〜40% |
太陽光発電 | 20% |
水力発電 | 80% |
地熱発電 | 10〜20% |
バイオマス発電 | 20% |
自宅に設置してうまく利用すれば、電気代節約に繋がります。
災害時に電気の供給がストップしても、風力発電システムがあれば自宅で発電でき、蓄電池を設置すれば停電時も電源として使用し続けられるのは最大のメリットです。
家庭用風力発電のデメリット
家庭用風力発電のデメリットは、以下の6つです。
- 設置スペースの確保が必要
- 設置可能な場所が限られる
- 導入費用が高い
- 天候によって破損する可能性あり
- メンテナンスが必要
- 騒音が近隣に伝わる
小型の風力発電システムは一般家庭に設置できる大きさとはいえ、ある程度の広さが必要です。
都心部の近隣の家との間隔が狭い場所では、設置できません。
また、従来の風力発電に比べると弱い風でも発電できるとはいえ、一定以上の風がないと発電できません。
他の自然エネルギーとも共通していますが、常に風が吹いているわけではないので、安定した電気供給が難しいのも特徴です。
自然災害により破損するケースもあり、太陽光発電に比べると部品が多いため、破損の可能性も高まります。
一般家庭用の小型風力発電システムは可能な限り騒音を小さくしていますが、それでも多少の騒音があります。
そのため、設置には近隣住民に迷惑にならないように配慮しなければいけません。
家庭用風力発電は電気を売電契約できる?
風力発電の売買契約は50kWh以上の設置が必要なので、現在は一般家庭に風力発電を設置しても売電できません。
そのため、風力発電による電気の使い道は、次の2通りです。
- リアルタイムに使用する
- 蓄電池に貯める
ただし、風力発電で電気を作れるのは程よく風が吹いているときのみです。
風がないときや風が弱いとき、台風などの強風のときは発電できません。
いずれにしても風力発電で作った電気を使用するには、蓄電池の存在が必要不可欠です。
風力発電で作った電気を家庭内で使用するには蓄電池が必要
風力発電を一般家庭に設置しても売電ができないので、家庭内で使用することになります。
風力発電で作った電気を家庭で使用するには、蓄電池を設置しなければいけません。
風力発電と蓄電池を設置すれば、風のある時間帯に蓄電した電気を風のない時間帯に使用して、家庭内で効率よく利用できます。
しかし、風力発電1基の発電量では電気を貯めることが難しく、大容量の家庭用蓄電池を導入しても蓄電容量が無駄になるだけです。
風の加減にもよりますが、風力発電と蓄電池を設置して電力自給していくには、3〜4基ほどあった方がいいでしょう。
具体的に風力発電システムの「エアドルフィン」の場合は、平均風速5mほどの場所なら家庭の消費電力の3分の1〜4分の1ほどをまかなえます。
風速5mというと歩いているときに顔に少し強めの風を感じる程度の強さです。
実際にすでに一般家庭に風力発電と蓄電池を設置している方は、高台や海辺のような風の強い場所に住んでいる方がほとんどです。
家庭用風力発電におすすめの蓄電池メーカー3選
家庭用風力発電を導入する際におすすめの蓄電池をご紹介します。
容量やデザイン、機能を比較してご家庭にあった蓄電池を選びましょう。
伊藤忠商事「スマートスターL」
伊藤忠商事のスマートスターLは、停電時は蓄電している電気を家中で利用できて、単機能型蓄電池の中でも優れた存在です。
そのため、停電時も普段と同じように生活できます。
ただし、使いすぎると蓄電容量が減ってしまうため、蓄電容量を意識しながら使用しなければいけません。
また、AI機能が搭載されており、天気予報を取得して翌日の天気を判別して蓄電すべきか放電すべきか判断して、自動制御する機能もあります。
9.8kWhと大容量なので、家族が多いご家庭にもおすすめです。
京セラ「Enerezza(エネレッツァ)」
エネレッツァは、京セラが2020年に販売を始めたクレイ型リチウムイオン蓄電池です。
蓄電池のリチウムイオンにクレイ(粘土)状の材料を用いたことで、従来の液体型リチウムイオン蓄電池と比較するとコスト削減できて、耐久性が優れた蓄電池になりました。
2019年度グッドデザイン賞を受賞しており、シンプルなデザインが人気です。
屋内に置いておいてもインテリアに溶け込みます。
エネレッツァは単機能型蓄電池のため、停電時は一部の電化製品にしか電気を供給できません。
ただし、オプションパーツを設置すれば、停電時も全ての部屋に電気を供給できる全負荷型に切り替えられます。
長州産業「スマートPVマルチ)」
長州産業のスマートPVマルチは、ご家庭のニーズに合わせて最適な組み合わせでカスタマイズできる蓄電池です。
必要に応じて全負荷型と単機能型から選べます。
単機能タイプであっても、蓄電ユニットへの充電電力を最適な形でコントロールしてバランスを保つため、停電時は発電電力を最大限利用可能です。
重塩害地域にも対応した機種もあるので、海岸沿いにお住まいの方でも安心です。
風力発電より太陽光発電が最適なケースも
風力発電の導入をおすすめするのは、次の4つに当てはまる方です。
- 太陽光発電の設置が難しい
- 太陽光発電以外に電力自給したい
- 風力発電を設置できる十分なスペースがある
- 風のある地域に住んでいる
風力発電は、太陽光発電以外の電力発電で家庭の電気をまかないたい方におすすめできる発電システムです。
ただし、いずれにしても設置には、近隣住民との騒音トラブルにならないような広さのある場所の確保が必要です。
また、風の強さにも左右されるため、安定的に電力を発電できない弱点もあります。
一方で、太陽光発電は住宅の屋根に設置でき、比較的安定して電気を作り続けられます。
以上から安定して電気を作り停電時の対策や電気代の節約を考えている場合は、太陽光発電の方が向いているといえます。
風力発電だけでなく、太陽光発電も検討してみてはいかがでしょうか?