2022年9月9日
電気自動車のメリット・デメリット|家庭用蓄電池との蓄電機能の比較も

電気の力を使って走行する車を電気自動車といいます。二酸化炭素を排出せず環境にやさしいだけでなく、太陽光パネルとの併用で蓄電池としても活用できることは、ご存知の方もいるでしょう。
近年注目されているこの電気自動車ですが、その種類はさまざまです。電気自動車を蓄電池としても活用したいご家庭では、電気自動車と家庭用蓄電池の蓄電機能はどちらが良いのか、比較検討している人もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、電気自動車の概要と特徴、メリット・デメリットについて解説し、蓄電機能について、家庭用蓄電池と比較しています。
電気自動車の購入を検討している人や、蓄電機能について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
電気自動車(EV)とは
電気自動車は、電気の力を使って走行する車のことを指します。Electric Vehicleの頭文字を取って「EV」とも呼ばれていますね。
家や街中の充電スタンドで充電し、その電気の力を使って走ります。二酸化炭素の排出がないため、環境にやさしい自動車として、近年注目されている自動車です。
電気自動車の特徴
電気自動車には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
電気自動車の他には、一般的なガソリン自動車、ハイブリッドカーがあります。
ガソリン自動車とは、その名の通りガソリンを使用して走行する一般的な自動車のことです。ハイブリッドカーは、PHVとも呼ばれる、電気とガソリンを併用して走行する車のことです。
電気自動車とこれら2つの自動車の違いは、電気の力のみで走行することです。家や街中にある充電器を使って充電を行う点は、電気自動車の特徴であると言えるでしょう。
電気自動車の購入で得られる5つのメリット
電気自動車を購入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。5つのメリットを紹介します。
メリット①環境に配慮できる
まず、二酸化炭素の排出がなく環境に配慮できる点が、電気自動車のメリットの一つとして挙げられるでしょう。
地球温暖化が騒がれる現代では、国や自治体が補助金を出すほどに、環境に配慮する意識が車選びにも求められています。
また、ハイブリッドカーも、一般的なガソリン自動車より二酸化酸素の排出を抑えられます。
メリット②自宅充電ができる
電気自動車は自宅で充電することが可能です。
自宅充電のメリットとして、寝ている間に充電できる、順番待ちをせずに充電できる、夜間電力を使えば充電費用を節約できる、ガソリンスタンドまで出向く必要がないなどが挙げられます。
メリット③蓄電池として使える
電気自動車には蓄電池が搭載されています。蓄電池には、災害時の非常用電源として使えるなどの特徴がありますが、電気自動車の蓄電池も同じ機能を持っているのです。
平常時に自動車として使える点は、家庭用蓄電池にはない電気自動車ならではのメリットであると言えるでしょう。太陽光発電システムと組み合わせると、さらなる電気の自給自足にも近づきます。
メリット④購入時に補助金がある
電気自動車は環境に配慮した車であることから、購入の際には国や自治体からの支援があります。購入時に補助金が受け取れる他、自動車税や重量税などの減免も行われています。
補助金制度は、購入する車種によって補助されるもの、地方自治体から補助されるものなど、複数あります。
電気自動車の購入前には、どのような補助金を受けられるのかをあわせてチェックしておくのがおすすめです。
メリット⑤ガソリン自動車と比べて維持費が安い
電気自動車はガソリンよりも安価な電気を利用するため、燃料費はガソリン自動車よりも必然的に安くなります。
また、夜間の電気料金が割安なプランに加入していれば、電気自動車を夜間に充電することで、より燃料費を抑えられます。
その他、ガソリン自動車にかかるオイルやフィルター交換などは電気自動車には必要なく、車検代も電気自動車の方が安価であることが多いです。
電気自動車の購入で考えられる3つのデメリット
メリットは前述の通りですが、デメリットとしてはどのような点が挙げられるでしょうか。考えられる3つのデメリットを紹介します。
デメリット①車体価格が高額
以前に比べ電気自動車の普及は進んできたものの、いまだに車体価格が割高に感じる点は、デメリットの一つと言えるかもしれません。
国内で販売されている電気自動車は、そのほとんどが300〜400万円台の価格です。一般的なガソリン自動車は100万円台から購入できるものもあるため、割高感は否めないでしょう。
前述の通り、電気自動車の購入には補助金を活用できることがあります。とはいえ、補助金で全てをまかなうことは難しく、補助金を利用したとしても200万円を上回ってしまうことが多いのが現状です。
デメリット②充電スポットが少ない
電気自動車の充電スポットは拡大し続けていますが、まだまだ多いとは言えないのが現状です。ガソリンスタンドの見つけやすさに比べると、充電スポットを探すのは少し手間がかかります。
さらに、家で充電する場合とは異なり、街中の充電スポットを利用する場合は事前登録が必要です。登録をしていない場合はすぐに充電できないことが多く、できるだけ時間的に余裕を持っておかなければいけません。
デメリット③充電に一定の時間がかかる
電気自動車のメリットでもある自宅充電ですが、充電に一定の時間がかかる点はデメリットになり得ます。
家庭用の充電器は100〜200Vのものが多く、フル充電するとなると少なくとも7,8時間はかかってしまいます。時間に余裕があるときは問題ないのですが、すぐに車を利用したいこともあるでしょう。
急速充電機能を使えばもう少し速くはなりますが、ガソリンの給油と比べると時間がかかってしまうのは事実です。
電気自動車のメリットとして「蓄電池として使える」を挙げましたが、電気自動車を蓄電池としても活用したいと考えている人は、家庭用蓄電池との比較が気になるところでしょう。
電気自動車購入のメリットの一つでもある蓄電機能について、家庭用蓄電池と比較してみたいと思います。
家庭用蓄電池のメリット・デメリット
まずは、家庭用蓄電池のメリット・デメリットを紹介します。
メリット①電気代を節約できる
夜間の電気料金が割安なプランに加入しておくことで、電気代の節約につながります。夜間の単価の安い電気を蓄電池に貯めておき、日中に使うようにすれば、電気代が安くなるといった仕組みです。
さらに、太陽光発電システムを導入していれば、パネルで発電した電気を蓄電池に貯蔵できます。日中はパネルで発電した電気を使用し、余った電気は蓄電池へ貯蔵、夜間は日中に貯めた電気を利用することで、電気の自給自足にもつなげられます。
メリット②災害時の非常用電源になる
災害時に停電が起きた場合に、蓄電した電気を使うことができる点もメリットとなるでしょう。停電時はスマートフォンが充電できないだけでなく、家電の使用ができなくなるため、情報や安否確認も難しくなります。
蓄電池を購入していれば、停電が起きてもしばらくは通常通り電気を使えます。
デメリット①導入費用がかかる
電気自動車も同じですが、蓄電池も決して安い買い物ではありません。電気自動車は車としても使えるものの、蓄電池は購入して本当に元が取れるのだろうかと悩む人は少なくないようです。
具体的な費用は、販売店や時期によって、購入する製品本体価格が大きく異なることもあるため一概には言えません。
蓄電池を対象とした補助金もあるものの、条件も細かく設定されているため、ご家庭が対象となるかどうかについてはしっかり確認する必要があるでしょう。
デメリット②スペースの確保が必要
蓄電池を導入するには、本体を設置するスペースの確保が必要です。室内に設置する場合は特に、どのくらいのスペースを準備すれば良いのか事前に確認しておく必要があります。
蓄電池は静音ではあるものの、多少の音はどうしても発生してしまいます。室内に設置する場合は、音が気にならない場所を選ぶなど、スペースの確保と合わせて確認しておきましょう。
家庭用蓄電池の相場
蓄電池を導入する際は、蓄電池本体の費用と設置工事費用がかかります。蓄電池本体の費用は、その容量や性能によって異なります。
また、設置工事費用も、設置する場所や業者によって大きく変動します。
おおよその価格相場としては、蓄電池本体の費用が50〜200万円程度、設置工事費用が20〜50万円程度ほどです。これらは要件によって変動しますが、蓄電池本体の費用と設置工事費用をあわせて、おおよそ100〜300万円であると見積もっておくと良いでしょう。
平均的な家庭の場合、およそ140万円前後が相場となっています。
また、蓄電池の購入には、国からの補助金である「DER補助金」「ZEH補助金」の他、自治体からも補助金が出る場合があります。蓄電池の購入を検討をしている人は、早めに補助金に関する情報をチェックしておきましょう。
電気自動車の蓄電機能と家庭用蓄電池の比較
非常時のバッテリーとして電気を蓄えておく場合、蓄電容量は家庭用蓄電池よりも電気自動車の方が大きくなっています。蓄電機能を比較すると、電気自動車の方がメリットがあると言えるかもしれません。
しかし、購入後にメンテナンス費用が安く済むのは家庭用蓄電池です。それは、家庭用蓄電池は蓄電システムとしてのみしか使用できないためです。
電気自動車は車として利用できるため、購入後も燃料費や保険料、車検代、税金などの費用が発生します。
一方、家庭用蓄電池は、購入後にメンテナンスをする必要がほとんどありません。必要な場合でも、保証でメンテナンス費用が無償になることがあります。
購入後の費用面で考えると、電気自動車よりも家庭用蓄電池の方が安く済むでしょう。
とはいえ、蓄電池を購入するのであれば、太陽光パネルと併せた方がメリットも多くなります。
使用目的によっては他製品との組み合わせなどが発生し、費用が大きく膨らむこともあるでしょう。そのため、単体の費用だけで比較するのは賢明ではありません。
こういった点を踏まえて、蓄電機能のみが目的なのか、環境にやさしい車としての使用が優先なのか、ご家庭の真の目的に沿って検討していくことが大切なのです。
電気自動車は蓄電機能も優秀!家庭用蓄電池との比較は目的に合わせて
電気自動車は、環境に配慮できるだけでなく、自宅充電ができる、ガソリン自動車と比べて維持費が安いなどのメリットがあります。
また、蓄電機能も優秀で、太陽光発電システムとの組み合わせを検討している人にもおすすめです。
しかし、もし蓄電機能だけが目的なのであれば、導入費用や維持費が安い家庭用蓄電池の方が良い場合もあります。
蓄電はあくまでも非常用という考えであれば、普段は自動車として使える電気自動車の方が購入メリットは大きいでしょう。
家庭用蓄電池と電気自動車のどちらを選ぶかは、ご家庭の考え方や目的、ライフスタイルによって異なります。まずは「どういった目的で使用したいのか」を明確にした上で、比較検討すると決めやすくなりますよ。